40代主婦の再就職市場が盛り上がっている理由

もしも「40代主婦の再就職は正直、年齢的に難しいのではないか」と思っている方がいらしたら、今すぐ考え方を改めていただきたいですね。実際、相当多くの40代主婦の方々が再就職に向けて動き出しています。下のグラフは主婦向け就職サービス「しゅふJOBサーチ」の求人数と応募数を示しています。企業の人材難が深刻さを増す中で、ご覧のとおり求人数は2012年1月を基準にすると10倍近くに、応募数も6~7倍に増加しています。応募者も2~3年前までは30代が多かったのですが、今は完全に40代、団塊ジュニア世代がメイン層となっています。


企業側も40代女性を採用することに対する抵抗感が少なくなりました。昔と比べて今の40代女性は見た目も感覚も若々しい人が多く、パソコンやインターネットなども使いこなせる上にスキルも高く、以前働いていた経験もあるので即戦力になると積極的に採用する企業が増えています。というよりも、将来的に少子化によって労働力人口は減る一方ですので、企業は40代、50代の女性を戦力化していかなければ生き残ることはできない時代に入ってきているのです。この状況で、年齢を気にして「もう年だから無理…」などと、動く前から諦めてしまっては本当にもったいないと思います。
主婦層の弱み「時間的な制限」もクリア
企業側からの主婦層に対する需要は高まるばかりですが、ネックとなるのは「時間」です。主婦にとって、特に子どもがいる主婦にとっては「5時までには帰って夕食をつくりたい」など、どうしても働ける時間に制約があります。女性活躍推進が話題となっている昨今、保育園不足による待機児童問題などが盛んに取り上げられていますが、実は我々の調査によると、求職中の主婦が働く上で妨げとなるものは

と、保育園不足よりも「短時間で働ける仕事の求人が少ない」、そして「働く環境が整わない」ことが、一番の理由となっているという実態が見えてきました。
このことは企業の方も徐々に気づき始めていて、以前に比べて仕事自体を細かく切り分けて求人の募集をするようになり、週3~4日、10~16時の勤務といった主婦層が働きやすいような時間的条件の求人が多く出るようになってきました。企業側からのそうした配慮もあり、この数カ月間は一時期停滞していた応募数がまた回復してきました。「少し前に求職活動をしてみたけれど、時間的に合う仕事が無かった」という方も、今後は時間的条件に合った求人が増えてくる可能性がありますから、ぜひ諦めず、再度挑戦していただきたいと思います。
「お仕事ブランク」問題は?
「もう一度働きたい。でも、前の仕事からブランクが空いてしまって自信がない…」と再就職をちゅうちょしてしまう方も多いかと思います。もちろん採用する企業側としても、ブランクはできれば無い方がいいのは確かですが、最近の傾向としては2~3年のブランクであれば、以前ほどはマイナスに受け取られない傾向にあります。
10年近いブランクがあると企業側にも「ブランク」という認識がより強くなるようですが、単純に長ければ長いほどマイナスとは言い切れず、その期間をどう過ごしたかもポイントとなります。
子育てをしながらも積極的にPTAや地域、自治会など地域の活動に取り組んだ、NPOやボランティア団体の活動に加わった、資格や趣味の勉強にいそしんだ、ブログを毎日更新して一定の読者をつかんだなど、意欲的になにかに取り組んだことがあれば、そうしたことを評価する企業も以前に比べ増えています。ブランクがあっても自分はその間、どう過ごしてきたのか、人前で語れるように"再就活"を始める前にきちんと棚卸ししておくことをおすすめします。

株式会社ビースタイルしゅふJOB総研所長 兼 ヒトラボ編集長。大手人材サービス会社で、責任者として営業企画・新卒派遣・人材紹介部門の立ち上げを行う。転職後は人材サービス会社でマーケティング部執行役員部長、業界専門誌を発行する出版社で営業推進部部長 兼 月刊人材ビジネス編集委員などを歴任。主婦層の雇用創出事業に携わる傍ら、コラムやフェイスブック等を通じて人材サービス業界への意見提言を行っている。
(ライター 井上佐保子)
[nikkei WOMAN Online 2015年11月18日付記事を再構成]
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