2019年2月16日(土)

「嵐」コンサート、地方を潤す 熱烈ファンの経済効果

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2016/1/8 3:30
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ホテルもファンの動向に敏感だ。「開催時期は周辺のホテルの空き部屋が消えてしまうほど嵐効果は別格。09年の結成10周年あたりから急速に予約スピードが上がった」とアパホテル(東京・港)の村田紘嗣・統括ITスーパーバイザーは証言する。同社はツアー発表時から嵐ファンが集う交流サイトをみて、ファンがどう動くか分析。15年12月17~19日の福岡公演では福岡の計300室がほとんど嵐ファンで埋まった。「チケット当落が分かるといったん半分ほどキャンセルが出る。ただ、ホテルを確保できなかったファンで再び埋まる」

15年9月の復興支援コンサート期間、地元のバスがこんなメッセージを掲げ、ファンを喜ばせた

15年9月の復興支援コンサート期間、地元のバスがこんなメッセージを掲げ、ファンを喜ばせた

■転売防止に顔認証システムも導入

京王プラザホテル札幌は、開催日程が決まった翌日にはファンの予約で満室になるため、宿泊予約をストップする。抽選に外れても部屋をキャンセルせず、チケットを入手できたファンに譲るケースもあるようだ。そして3世代で楽しむファンの宿泊が多いという。

話題になったのは15年9月、宮城県利府町のスタジアムで開かれた復興支援コンサートだろう。開催発表と同時にあらゆる宿泊施設に予約が殺到、あるホテルは重複予約を受け付けてしまい謝罪に追い込まれた。「交通手段が少なく、レンタカーや駐車場の予約も大変だった」(40代のファン)。過熱しすぎたのか、通常5000円以下のビジネスホテルの客室が牛タンカレーや宮城米を付けて1泊5万円で売られ、1日1万円で自宅の土地を駐車場に貸すような現象もあったという。4日間の公演の経済効果は90億円超とされたが、「一部の人が商業主義に走り、復興支援の趣旨とずれた」と残念がるファンもいる。

ジャニーズ事務所では、今後もコンサートの開催パターンを変更するつもりはないという。平日であれば18時開演、21時ごろの終了と終電で帰りやすい時間を設定している。公演数も現状が「いいあんばい」で、大幅に増やすのは難しいという。ただ、ファンを守るべく様々な手を打っている。例えば不当にチケットの価格をつり上げる転売の防止だ。事前に転売されたと分かった席は無効にして、再販売する。15年のツアーからは一部座席に顔認証システムも導入した。

嵐は15年にオリコンの音楽ソフト売り上げで143億円と、5度目の1位を獲得。単独アーティストとして初めて4年連続で5大ドームツアーに成功した。ファンの年齢層と地域性という「広さ」のかけ算が、コンサートの動員数を押し上げる。全国ツアーが開催地を潤し、地元に新たなファンを生む、というプラスの循環が今後も続きそうだ。

(企業報道部次長 松本和佳)

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