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大リーグ、大盤振る舞い 1億ドル超の大型契約続々

スポーツライター 杉浦大介

今オフの大リーグで、総額1億ドル(約120億円)以上の超大型契約を結ぶ選手が続出している。総年俸2億ドル以上の歴史的契約を手に入れたデービッド・プライス(レッドソックス)、ザック・グリンキー(ダイヤモンドバックス)をはじめ、メジャーリーグ(MLB)でこれほどの札束が飛び交っている好景気の理由はどこにあるのか。そして、来季に向けて最もチーム力をアップしたのはどこか。

すでに「1億ドルプレーヤー」5人

多くの好選手がフリーエージェント(FA)市場に出ていた今オフは、景気の良い大型契約が飛び交うことが予想されていた。しかし、一部のトップ選手たちが受け取った金額は大方の想像を超えるものだった。

2012年のサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)投手に輝き、今季はタイガース、ブルージェイズで計18勝を挙げたプライスは、12月4日にレッドソックスと投手史上最高となる7年総額2億1700万ドルで契約。1週間後には、09年のサイ・ヤング賞投手で、今季は1.66という驚異的な防御率を残したグリンキー(今季ドジャース)が、1年換算ではプライスの年俸をも上回る6年総額2億650万ドルでダイヤモンドバックスと合意に達した。

今オフに大型契約を獲得したのはこの「トップ2」だけではない。

レッズ時代の14年に20勝を挙げたジョニー・クエト(今季途中、レッズからロイヤルズに移籍)はジャイアンツと6年1億3000万ドルで合意。今季まで4年連続2桁勝利のジョーダン・ジマーマン(今季ナショナルズ)は、タイガースと5年1億1000万ドルで新契約を結んだ。野手では過去4年間でゴールドグラブ賞を3度受賞したジェイソン・ヘイワード(同カージナルス)が、8年1億8400万ドルでカブスへの移籍を発表した。

オフの間に新たに1億ドル以上の大型契約を受け取る選手が最も多かったのは、ロビンソン・カノ(マリナーズ、10年2億4000万ドル)、田中将大(ヤンキース、7年1億5500万ドル)、ジャコビー・エルズベリー(ヤンキース、7年1億5300万ドル)、秋信守=チュ・シンス=(レンジャーズ、7年1億3000万ドル)がそれぞれ新天地に移籍した13年シーズン後だった。

今年は現時点ですでにそれを上回る5人の「1億ドルプレーヤー」が誕生。ジャイアンツと5年9000万ドルで契約したジェフ・サマージャ(今季ホワイトソックス)、カージナルスと5年8000万ドルで合意したマイク・リーク(今季途中、レッズからジャイアンツに移籍)ら、決して超一流とはいえないような投手でも大台に近い金額を受け取っている。しかもまだヨエニス・セスペデス(同メッツ)、ジャスティン・アップトン(同パドレス)、クリス・デービス(同オリオールズ)、アレックス・ゴードン(同ロイヤルズ)といった野手の大物が未契約のまま残っている。

テレビマネー支えに好景気続く

デービスは古巣オリオールズから7年1億5000万ドルの提示を受けたとも伝えられており、今後、大台超えを果たす選手が増える可能性は十分ある。プロ野球広島からポスティングシステムでメジャー入りを目指している前田健太も、1億ドルには届かないまでも、かなりの好条件を提示されるのではないか。

これほどの大盤振る舞いが可能になるのは、MLBの収益が十数年連続で増加中で、15年も前年を5億ドル上回る約95億ドルの利益を記録したからだ。その好景気の理由はやはりテレビマネーによるところが大きい。

14年から始まったFOX、TBS、ESPNとの契約だけで、21年までMLBに総額約124億ドルのテレビ放映権料が流れ込む。そのお金が各チームに分配される。さらに、多くのチームがローカル局とそれぞれ総額10億ドル以上の契約も結んでいる。

13年にドジャースが地元のスポーツ専門局と25年83億5000万ドルという巨額の契約を結んだことは大きなニュースになった。額はやや低くとも、テレビマネーの恩恵を受けているのはドジャースに限った話ではない。エンゼルス、カージナルス、フィリーズ、レンジャーズ、アストロズ、パドレスなども近年に地元のテレビ局と新契約を結んでいる。

また、02年から始まった収益分配制度のおかげで、大都市チームの稼いだ額の一部が市場規模の小さい都市のチームに渡るようにもなっている。ヤンキース、レッドソックスのような一部の「金満チーム」にスター選手が集中していた時代も今は昔。今オフのダイヤモンドバックス、あるいは昨季にジャンカルロ・スタントンと13年総額3億2500万ドルという途方もない契約を結んだマーリンズのように、小規模チームでもスター選手に大枚をはたけるようになったのは、この収益分配制度のおかげである。

今オフ補強の「最大の勝者」は

大型契約が飛び交う今オフ、現時点ではレッドソックス、ダイヤモンドバックス、カブスこそが「最大の勝者」と呼ばれるにふさわしい。

デーブ・ドンブロウスキー新ゼネラルマネジャーの指揮下で、レッドソックスはプライス以外にも通算225セーブのクレイグ・キンブレル(今季パドレス)、今季マリナーズでリリーフとして大活躍したカーソン・スミス(2勝5敗、13セーブ、防御率2.31)を獲得した。これで上原浩治、田沢純一と合わせ、リーグ有数の強力ブルペンが誕生したことになる。上原はクローザーでなくなることが濃厚だが、来季は13年以来のプレーオフ進出が狙える陣容が整ったといってよい。

ダイヤモンドバックスはグリンキーだけでなく、ブレーブスからトレードで今季防御率3.02のシェルビー・ミラーを獲得して、先発ローテーションを整えた。一部で噂された前田の獲得はもうなさそうだが、それでも16年の注目チームの一つに躍り出たことは間違いない。

今季大躍進を遂げたカブスは今オフにヘイワード、ベン・ゾブリスト、ジョン・ラッキー、アダム・ウォーレンら、実績十分な実力派選手を次々と加えた。もともと多くの若手タレントを擁するチームが層をさらに厚くし、「ナ・リーグ有数のパワーハウス」と呼ぶにふさわしい豪華メンバーをそろえた。来季は、実に1908年以来となる"世界一"への期待が大きく膨らみそうだ。

その他、クエト、サマージャを手に入れて先発投手をテコ入れしたジャイアンツ、ジマーマン以外にもフランシスコ・ロドリゲス、ジャスティン・ウィルソンを取り、懸案のブルペンを補強したタイガースも勝ち組に加えられてしかるべきだろう。

こうして一部のチームが着々と戦力を整える一方で、ドジャース、エンゼルス、オリオールズのように仕事が残っている強豪もある。前述したとおり、依然として多くの好選手がマーケットに出ている状況で、補強戦線は春季キャンプ入り直前の来年2月半ばまで継続する可能性もありそう。そして、近年の趨勢を考えれば、さらに多くの札束が派手に飛び交っても誰も驚かないだろう。

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