2019年6月16日(日)

サッカー、規律乱すスーパースターの資産価値
フットボールライター 森昌利

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2015/12/28 6:30
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「チーム内で自分の立場を確立できていない選手が規律を守れないとなれば話は簡単だ。解雇すればいい」

「しかし、トッププレーヤーとなるとそうはいかない。移籍金2000万ポンド(約36億円)以上と評価される選手はクラブにとって大切な資産になる。何か問題を起こしたからといって簡単に放り出すことはできない」

「もちろん、彼らも承知している。そして当然のように特別扱いを望む」

これは先月、英国放送協会(BBC)が放映したドキュメント番組「Footballers,Sex,Money:What's Gone Wrong?(サッカー選手とセックスと金。何が間違っているのか)」で元トットナム監督の名将ハリー・レドナップ氏が嘆いた言葉だ。

プレミアリーグ、金満度が急速に上昇

イングランド・プレミアリーグは世界的な人気を呼び、2016~17年シーズンから3年間のテレビ放映権料の総額はなんと1兆円規模となる。最下位クラブでも1年に200億円近い収入を得る計算だ。

プレミアリーグは非現実的といってもいい好景気に沸き、リーマン・ショックの影響などほとんど感じさせない。どうしても「金満」という言葉が浮かんでしまう。

ベッカムがイングランド代表の主将となったあたりから、「サッカー発祥国」における金満度は急速に高まった。それとともにサッカー報道が過熱し、ヒステリックな状況も生み出している。

とくに常勝チームに掛かるメディアの圧力はすさまじいものだ。歯車が狂って勝てなくなると、まるでこの世の終焉(しゅうえん)のような書き方をする。

その過激な報道の裏側には、金満体質に対する世間(その中にはメディアも含まれる)の妬みがある。勝てないビッグクラブへの痛烈な記事の中には「今季の補強にいくら使った」「この選手の年俸はいくら」といった文言が目立つ。そこには「こんなに金を使っておいて」「あんなに金を稼いでおいて」という思考が常に見え隠れする。

それに加えて、この国の多くの人々がサッカーに大金を費やしているという事実がある。高騰するばかりの入場料、毎年デザインが変わるレプリカシャツの購入費、それに衛星放送の視聴料。サッカー界は彼らのなけなしのお金を吸い上げ続けている。

だから、負け続けてファンの夢を壊せば、怒りや妬みという負の感情を背負う。これがいわゆるプレッシャーと呼ばれるものの正体だろう。

支持失ったのは監督の資質の問題か

そんなブームの中、スーパースターたちは普通の人々の年俸を1日で稼ぎ、熱狂的なサポーターに神格化され、エゴを果てしなく膨張させている。

その異常なプレミアリーグの中でも、03年にロシアの石油王アブラモビッチ氏が買収して以来、金満中の金満クラブとなったチェルシーを率いるというのはどういうものなのだろうか。

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