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ゴルフの日本3オープン、選手の魅力は引き出せたか
公益財団法人ゴルフ協会専務理事 山中博史

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2015/12/26 6:30
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今年も残り少なくなりました。今回は、日本ゴルフ協会(JGA)が主催した3つのナショナルオープン競技を総括したいと思います。

最初は日本女子オープン(10月1~4日、片山津GC)です。私自身、女子の試合に関わるのはほぼ15年ぶり。それだけに、現在なぜ女子ゴルフに人気があるのか、とても興味がありました。実際、大会初日から大勢のギャラリーが入り、会場は華やかな雰囲気がありました。その理由を挙げるとすると、(1)世界ランキング上位者が参戦してランキングにふさわしい活躍をした(2)ギャラリー数が3オープンで最も多い3万人強(最終日は約1万2000人)(3)テレビ視聴率も最終日は日没直前までプレーオフが長引いたにもかかわらず平均10%を超えた――などに表れています。

女子はイ・ボミら若い選手を中心に華のある選手が多く、ファンサービスが行き届いている=日本ゴルフ協会提供、以下同

女子はイ・ボミら若い選手を中心に華のある選手が多く、ファンサービスが行き届いている=日本ゴルフ協会提供、以下同

女子は「お客を呼べる選手」が多く

人気の理由は、やはり若い選手を中心に華のある選手が多く、ファンサービスが行き届いていることに尽きます。その背景には彼女たちが「自分たちはなぜこの場所にいられるのか? それは支える人たちがいるからだ」ということをわかって、それにふさわしい振る舞いをしているからだと思います。それはファンに対してだけでなく、大会主催者やボランティアスタッフ、ゴルフ場従業員、運営関係者に対しても同じです。ゴルファーの多くが男性だということを割り引いても、「これならファンもスポンサーもついてくるな」と実感しました。実際、選手にはそれぞれのファンがついていて、いわゆる「お客さんを呼べる選手」がたくさんいる感じです。

しかし問題点も感じました。特に気になったのはプレーが遅い選手が多いことです。若い女子選手の多くが男性の帯同キャディーを使っていることが理由の一つでしょう。キャディーの多くは選手より年齢が上。このため本来なら「選手が主で、キャディーは従」という関係が逆転して、キャディーの指示に従って選手がプレーしているような場面があちこちで見られるのです。

例えばショットの際も、飛球線後方からキャディーがアドレスの向きを確認してあげる。クラブ選択、距離の確認、パッティングラインについても自分が決めるというより「キャディーの意見を聞いて決める」というケースが目立つのです(もちろん規則上は何ら問題ないのですが)。このため、一つ一つのプレーに時間がかかってしまうのだと思います。

プロはただボールを打つだけではないはずです。「どこに向いて、どういう球を打つか」を自分で判断できて当たり前。良く言えば「キャディーの担う役割が大きい」のですが、「キャディーに頼り過ぎ」とも言えます。これまで男子の試合を多く見てきただけに、これには少し違和感を持ちました。

日本女子オープンを制した田仁智は実に堂々としており、21歳にして風格すら感じさせる

日本女子オープンを制した田仁智は実に堂々としており、21歳にして風格すら感じさせる

21歳にして風格感じさせる田仁智

そんな中で優勝した女子大生プロ、田仁智選手(韓国)には練習日から注目していました。名門・高麗大学に籍を置く21歳なのに、実に堂々としている。ゴルフがうまいだけでなく、落ち着きがあって話し方や所作からも人柄がうかがわれ、風格すら感じられるのです。これまで多くの選手を見てきましたが、若いころからこういう雰囲気のある選手はあまりいません。強いて言えば、デビューしたころのアーニー・エルス選手(南アフリカ)やフィル・ミケルソン選手(米国)でしょうか。

彼女のあだ名は「ダンボ」。由来は、周りで話している声が実によく聞こえるそうで、日本流に言えば「地獄耳」ですかね。それだけ冷静で、かつ処理能力が高いといえるかもしれません。

その田選手の本領発揮という場面がプレーオフでした。先にホールアウトしていた田選手はプレーオフが決まったとき、まずキャディーに「何番ホールでやるの?」と聞いたそうです。「18番ホールの繰り返し」ということを確認すると、「18番をやるなら、8番アイアンを抜いてロフト19度のユーティリティーを入れよう」とクラブセッティングを変えてプレーに臨んだのです。最終的に勝負を決めたショットは、新たに入れたユーティリティークラブでした。彼女の帯同キャディーはベテランの英国人なのですが、「本当に頭の良い子なんだよ」とホールアウト後に話していました。

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