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沖縄の新移動スタイル 「ゆいレール」で渋滞緩和へ

日経コンストラクション
2013年末から沖縄県で進められている、沖縄都市モノレール線(ゆいレール)首里─てだこ浦西駅間(4.1km)の延伸工事。アップダウンが連続する延伸ルート上で、2019年の開業を目指して工事が進められている。完成すれば沖縄の新たな"移動スタイル"を生むと期待される、ゆいレールの工事の現状を報告する。
ボックスカルバート工事が始まったゆいレール浦添前田―てだこ浦西間(写真:大野雅人)

那覇空港―首里間(12.9km)で運行されているゆいレールは、首里駅から先、石嶺、経塚、浦添前田の途中駅を経て、沖縄自動車道と交わる浦添前田3丁目付近のてだこ浦西駅に至る延伸ルート工事が実施されている。総事業費は約350億円(インフラ部231億円+インフラ外部(車両など)119億円)で、2019年の開業を目指す。

事業主体は、インフラ部分を沖縄県・那覇市・浦添市が、車両などインフラ以外を沖縄都市モノレールが担う。この延伸事業が整うと、沖縄本島を南北に貫く沖縄自動車道とゆいレールがつながり、那覇市内の渋滞緩和を促す「パーク&モノライド」が実現する。

このパーク&モノライドが普及すると、マイカーでモノレールの最寄駅まで向かい、那覇市内をモノレールや路線バスで移動するという新たな"県民の移動スタイル"が生まれる。また、県外からの観光客が那覇市内を徒歩・レンタサイクル・路線バス・モノレールなどで周遊。さらに読谷や名護、山原などの遠方へ向かう場合は、モノレールでてだこ浦西駅まで行き、駅周辺のレンタカー拠点でクルマを借りて移動するといった"観光客の新たな流れ"も創出する。

2019年の開業を目指し、インフラ部分の変化が見え始めた延伸ルート。地下区間のボックスカルバート工事や、モノレール開業を視野に入れてオープンさせた店舗など、現場の動きを写真で見ていこう(取材は2015年11月中旬)。

市道の前田トンネル付近では、片側車線を閉鎖しモノレール支柱(P676)が姿を見せ始めた(写真:大野雅人)
汀良交差点付近から首里駅を見る。ここからレールが延伸する(写真:大野雅人)
ゆいレール延伸ルートのイメージ(赤線)駅名は石嶺、経塚、浦添前田、てだこ浦西に決定した(資料:沖縄県)
モノレール延伸後の効果イメージ。モノレールと高速道路が接続し「パーク&モノライド」が実現する(資料:沖縄県)
延伸区間にできる石嶺駅、経塚駅、浦添前田駅、てだこ浦西駅の完成イメージ(資料:沖縄県)
ドーム型の駅舎となるてだこ浦西駅とその周辺のイメージ(資料:沖縄県、撮影:大野雅人)

最大56パーミルで自動車トンネルを越える

首里駅から先の延伸区間は、石嶺線、沢岻石嶺線、国際センター線、浦添西原線といった市道・県道の上を通る。石嶺交差点と経塚公園の間や、前田トンネル(老人ホーム「ありあけの里」)付近の高台は、急勾配で乗り越える。

支柱下の工事用柵が外され、次の施工ステップへ移る石嶺駅付近(写真:大野雅人)

経塚駅が設置される付近には、「カフェステーション(CAFE STATION)」という店名のカフェが営業を開始していた。店舗スタッフによれば、「モノレールの延伸に合わせてこの地を選んだ。店のアイコンもモノレールをイメージしたもの」という。

このカフェから300mほど東にある市道国際センター線・前田トンネルでは、那覇方向の車線を閉鎖し、モノレール支柱を建てる工事が進んでいた。この前田トンネルとその前後は、延伸工事が終わると再び片側2車線道路を整備する。

首里方からやってきたモノレールは、前田トンネルの高台を49‰(パーミル、1000分の49)の勾配で上り、トンネルの西側で56‰の坂を駆け下りる。その先、浦添警察署付近で90度東に向きを変え、浦添前田駅に止まる。浦添前田駅設置予定地の前後では、道路拡幅工事などが進んでいた。

経塚駅予定地の西にオープンした「カフェステーション」。ゆいレールをイメージしたアイコンも(写真:大野雅人)
市道国際センター線、前田トンネルの西側では、那覇方向車線を閉鎖しモノレール支柱を建てているモノレール支柱(写真:大野雅人)

ゆいレール初の地下区間

浦添前田―てだこ浦西間には、ゆいレール初となる地下区間(約300m)が存在する。この地下区間は、牧港川や雨水幹線が流れる低地帯にあるてだこ浦西駅と、高台にある浦添前田駅との高低差を解消するために設置した。

県道38号浦添西原線上で行われているU字形擁壁。ゆいレール地下区間の首里方の入口だ(写真:大野雅人)

トンネル主要区間(241.5m)はNATM (New Austrian Tunneling Method:アーチ状のトンネル自体の保持力を利用して掘り進む山岳トンネル)工法で、前後の出入り口部分はボックスカルバートやU字形擁壁で施工する。

首里方からてだこ浦西へと向かう区間は、浦添前田駅を出ると、ローソン浦添前田店あたりから県道38号浦添西原線の地中へと進み、浦添市消防本部付近までボックスカルバート区間を走り、NATM工法でつくられたトンネル区間へと入っていく。

ボックスカルバート区間に掲出されていた地下区間のイメージ(資料:沖縄県、撮影:大野雅人)
浦添市消防本部付近のボックスカルバート区間。この写真の左側でNATM工法によるトンネルへと切り替わる(写真:大野雅人)

終点の駅舎や引き上げ線らしき姿が

ゆいレール浦添前田―てだこ浦西間のトンネル区間をイメージしながら地上を行くと、県道241号沿いに建つ浦添石油サンセール前田SS(ガソリンスタンド)の脇に、「NATM施工ヤード造成工」と記されたヤードが準備されていた。このヤードの先にモノレールのてだこ浦西側トンネル出入り口ができる予定だが、2015年11月中旬時点ではまだ手付かずの状態だった。

延伸区間の終点、てだこ浦西駅の予定地に目を向けると、浦添西原線(バイパス)1号橋整備工事の北側にドーム形の建屋が見えた。これがてだこ浦西駅だ。沖縄自動車道側から駅舎方向を見ると、高速道路付近まで延びたモノレール引き上げ線らしき姿もあった。

沖成コンサルタントがYouTube上で公開している「浦添西原線1号橋整備工事3Dイメージ動画」の1シーン(資料:沖成コンサルタント)

このてだこ浦西駅周辺では、パーク&モノライド用駐車場や、高速道路スマートIC、民営レンタカー施設などが整備される予定。これらが組み合わさることで、新たな複合交通結節点として機能し、地域住民や観光客の流れが変わり、都市部の渋滞解消が期待されている。

てだこ浦西駅側のモノレールトンネル出入り口付近(写真:大野雅人)
浦添西原線1号橋整備工事の脇に出現したてだこ浦西駅の駅舎(写真左)(写真:大野雅人)
沖縄自動車道の上を行く浦添西原線バイパス。てだこ浦西駅は写真の右側に建つ(写真:大野雅人)

(フリーエディター 大野雅人)

[ケンプラッツ2015年12月14日付の記事を再構成]

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