/

[FT]ルペン氏との戦いは終わらない(社説)

Financial Times

マリーヌ・ルペン氏と同氏が率いる極右政党、国民戦線(FN)の人気の高まりが、フランスだけでなく欧州全域でおおよその有権者の間に不安を呼んでいる。したがって、今回の仏地方圏議会選挙でFNが全13の地域圏において第1党になれなかったことは安堵の広がりにつながるはずだ。

1週間前の第1回投票で、ルペン氏のFNは過去最高となる28%の全国得票率でトップに立ち、フランスを揺るがした。13日の第2回投票では、ルペン氏自身が立候補し第1回投票で大差のトップに立っていたノールパドカレー地域圏でさえも、主流派政党の支持者が極右の権力掌握を阻止するために投票所に繰り出した。

ルペン氏にとっては期待外れの選挙結果だったが、これを敗北と見なすことはとてもできない。第2回投票では、前週よりも約80万人多い700万人近くの仏市民がFNに票を投じた。FNはいくつかの地域圏で最大野党となった。ルペン氏は依然、2017年の仏大統領選で2候補による決選投票へ進むことが有力な存在だ。

それでも今回の選挙は、フランスの2回投票制が今なお極右にとって突破しにくいものであることを改めて認識させることにもなった。投票に見る限り主流派政党間に正式な反ルペン協約はなかったが、社会党は2地域圏で候補を取り下げ、支持者に中道右派の共和党への戦術的投票を呼びかけた。この動きがFNから勝利を奪い、オランド大統領の社会党は喝采を博した。

しかし、フランスの主流派政党がルペン氏の伸長を根本的に止めようとするなら、今回の選挙からより深い教訓を学び取る必要がある。社会党は、仏経済が停滞する中で第1党から転落する恐れがあるとみられた5地域圏の全てを制し、オランド大統領は大いに必要としていた勢いをつかんだ。パリ同時多テロへの決然とした対応で、ひどく低落していたオランド氏の支持率は回復し、17年大統領選の社会党候補に再度なることがほぼ確実な情勢に変わった。

労働市場改革を断行せよ

オランド氏の立場を改善するには、今よりも大胆に経済改革に取り組む必要がある。その意味するところは、10.6%という18年ぶりの水準に悪化した失業率を引き下げるために、フランスの硬直的な労働市場の改革を断行することである。失業率が特に高いフランス北部と南東部でFNの支持が強いことは、この仕事の重要性を物語っている。

共和党を率いるサルコジ前大統領にとって、教訓はさらに急を要する。これまでサルコジ氏はおおむね、分裂をあおるFNの危険なレトリックの一部を模倣することによってFNを打倒することに照準を合わせてきた。サルコジ氏はフランスの苦悩を移民の流入、多文化社会における「フランスのアイデンティティー」の欠如、「欧州文明の消失」のせいにしてきた。しかし、その共和党はいくつかの地域圏で勝利を収めるにとどまり、それも土壇場でFN阻止を決意した社会党支持者の投票のおかげだった。サルコジ氏は、右に寄れば寄るほどそうした支持を勝ち取りにくくなることをきっぱりと認識する必要がある。

17年大統領選はフランスと欧州にとって、この上なく重要な時となりそうな情勢だ。あと18カ月を残し、ルペン氏が主流派候補の誰にも見られないような勢いを得ている。

そのルペン氏を阻止するには、オランド氏もサルコジ氏も中道寄りにシフトし、経済改革とフランス共和制の歴史的価値に基づく政策を有権者に示さなければならない。今回の選挙は、2人にその最後のチャンスをもたらした。

(2015年12月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン