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クイックVote解説 マイナンバー「プライバシー侵害助長」57%

第251回解説 編集委員 木村恭子

マイナンバー、正式名称「税と社会保障の共通番号」の皆さんへの通知が始まっています。番号通知カードがお手元に届いたかどうかを電子版の読者の皆さんにお聞きしたところ、回答を寄せてくださった読者(8日正午時点)の84.1%が、すでに受け取っていることがわかりました。

通知カードを配達している日本郵便が7日時点の集計として発表したところによりますと、不在の持ち帰りも含めて全体の約98%の初回配達を終えたとのことです。

「届いている」と答えた読者からは、配達の際に不安を抱いたエピソードが寄せられました。

「再配達を依頼し、息子が受け取ったが、受け取りの際に名前を確認されただけで、本人確認の提示の要求がなかったとのこと。大丈夫かな」(58歳、女性)

「世帯単位で配達されるため同居の親あてに届き、自分は内容を見ていない。コストの問題もあるのだろうが、成人には1人1通としないと目にしない人も多いのではないか」(38歳、男性)

一方で、配達員の苦労を目の当たりにした読者もいました。

「先週末、やっと届いた。郵便局の人が恐る恐る持ってきた。『受け取り拒否の人が多く、配達に戸惑っていた』とのこと」(69歳、男性)

日本郵便は最も遅い地域でも20日までに1回目の配達を終えるとしていますが、再配達の対応をしているうちに、すぐに年賀状の配達が待っています。ただでさえ忙しいこの時期に、マイナンバーの通知カードを配達する職員に対しエールを送るコメントもありました。

「郵便局員は神経をすり減らして届けています。この期間は郵便局員の業務は大変でしょうが無理なく安全な配達を!」(71歳、男性)

12桁の番号が記された通知カードには、「個人番号カード」と呼ばれる別のプラスチックのカードを申請するための書類が同封されています。

個人番号カードは、ICチップを搭載し顔写真も付け、身分証明書にもなります。このカードを持っていれば、今後はいろいろなサービスが受けられるとされていますが、申請するかどうかは皆さんの自由です。

「カードも既に申請しました」(46歳、男性)

個人番号カードができたことを伝える「交付通知書」が届いたら、2016年1月以降に市区町村の窓口で受け取ることができます。

クイックVoteでは、2013年5月24日にマイナンバー制度を導入する法律が成立したことを受けて同25日~28日に皆さんにご意見をうかがいました。

そのときにも「マイナンバーは便利な生活に役立つと思いますか」とお聞きしたのですが、13年調査時は「役立つ」と回答した読者は80.0%だったのに対し、今回は62.4%でした。

「役立つ」と答えた読者は、13年調査と同様、日常生活が便利になることを挙げています。

「住民票などが市役所にいかなくても受け取れるのは便利」(28歳、女性)

また、マイナンバーの大きな目的の一つ「税負担の公平化」につながることに対しても関心を寄せています。

「マイナンバーにより納税が公平になり税収が増えることで、間接的に生活に役立つと期待します」(57歳、男性)

「マイナンバー制度に反対が多いのは、それだけ世の中に脱税者が多い証拠。100%所得が捕捉されている会社員にはメリットが多いと思います」(47歳、男性)

「昔は『十五三一(とうごうさんぴん)』と言われ、サラリーマンは不公平感と、いつまでも改善されない無力感を味わっていました。ようやく、というのが正直な感想です」(59歳、男性)

「十五三一(トーゴーサンピン)」とは、サラリーマンの税金への不公平感を表した言葉で、税務署による所得の捕捉率(実際の所得を把握している率)がサラリーマンの10割に対して自営業者は5割、農業者が3割、政治家が1割にとどまるという意味です。「九六四(クロヨン、サラリーマン9割、自営業者6割、農業者4割)」といった言い方もありました。

回答者の内訳
回答総数1667
男性92%
女性8%
20代3%
30代8%
40代16%
50代26%
60代33%
70代13%
80代以上2%

一方で、具体的にどのように役立つのか――といった点についての理解が深まっていない実態も浮き彫りになりました。

「具体的なメリットが見えるよう、国民向けの説明が必要になると思う。正直なところ、現時点では『役立つ』とは断言できず、限りなく『わからない』に近い」(35歳、男性)

同様の意見はマイナンバーが「役立たない」(37.6%)と答えた読者からも寄せられました。

「役立つのは役所側のみでしょう。生活者にとっては便利な場面が想像できません」(68歳、男性)

「メリット、デメリットがわからない」(60歳、女性)

政府によるわかりやすく丁寧な説明が必要だといえましょう。

また、すでに発行されている住民基本台帳カードと比較したうえでのコメントもありました。

「住基カードシステムもお金をかけただけで、使いこなせていない。検証もせずに新しいシステムに飛びついてもうまく運用できるとは思えない」(68歳、男性)

住基カードは2003年から発行されていますが、用途が限定されたこともあり普及しませんでした。導入自治体は15年6月時点で100団体にとどまっています。

住基カードはマイナンバー導入に伴い廃止され(16年1月以降も有効期限内は住基カードを使うことは可能)、「個人番号カード」に移行します。住基カードよりも用途を広げた個人番号カードは、住基カードよりも普及することが見込まれてはいますが、「費用をかけて導入するのだから効果を出すようにして欲しい」(64歳、男性)との思いは、多くの皆さんも同じでしょう。

次に皆さんにお聞きした「マイナンバーはプライバシー侵害を助長すると思いますか」という設問も2013年調査でお聞きしたものです。

「そう思う」と答えた読者は、13年調査の44.7%よりも増え、57.9%と過半数を占めました。今年6月に起きた日本年金機構の情報流出問題に影響を受けた読者が多かったようです。

「年金機構が象徴するように、情報漏洩防止は万全とはいえない」(56歳、男性)

政府は当初、16年1月から日本年金機構が個人の基礎年金番号とマイナンバーを住基ネットを使って連結する作業を進める予定でした。しかし、同機構の情報流出問題を受けて開始を最長1年5カ月延期しました。今現在で具体的な開始時期は決まっていません。

一方、プライバシー侵害を助長するとは「思わない」(42.1%)と考える読者は、すでにマイナンバーと類似の番号制度を導入している米国での体験談を記してくれました。

「米国在住時にSSNを使っていたが、プライバシーを侵害されたという経験は一度もない。金融機関等での手続きがスムーズに行われ、大変便利だった」(37歳、女性)

「米国のカードも持ってますが何の問題もありません」(46歳、男性)

米国で各人に割り当てられた番号は「社会保障番号」(Social Security Number、SSN)」と呼ばれています。

コメントを寄せてくださった読者は被害にあっていなくて良かったのですが、SSNの盗難や詐欺といった悪用によって一説には年に2兆円ほどの経済的な損失が出ているといわれ、米政府は悪用を防止するために多額の費用を投じています。

マイナンバー制度によって日本でも生じる巨大な個人情報の安全管理に向けて、私たちもチェックを怠らないようにしなくてはいけませんね。

今回ご協力いただいた読者の皆さんによる安倍内閣の支持率は63.3%で前回調査の62.9%を0.4ポイント上回りました。

「支持」する読者から、マイナンバーについてのコメントがありました。

「今回のマイナンバー導入のきっかけは民主党ではあったが、実現できたのはやはり安倍政権の力が大きい」(59歳、男性)

一方、「不支持」の読者からは女性政策への不満が寄せられました。

「女性活躍を唱えながら、配偶者控除の廃止などの踏み込んだ施策が行われていない」(37歳、女性)

10日の日本経済新聞朝刊「視点・焦点」面では、マイナンバーについて特集を組んでいます。皆さんのご意見も一部掲載しています。併せてお読みください。

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