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訪日前から囲い込み(熱風インバウンド)

集客の舞台は中国(中) 宣伝動画やSNS配信 来店者数5倍の店も

中国人観光客による消費行動を拡大するため、交流サイト(SNS)などを活用した中国への情報発信が広がっている。中国でもスマートフォン(スマホ)の普及が進んでいる。いかに情報を事前に届けて「旅前の買い物リスト」に組み込んでもらえるかが勝負の分かれ目だ。

11月16日午前、高島屋京都店の婦人服売り場で撮影会が行われた。ファッション雑誌ではない。中国に向けた動画配信のためだ。関西では、今年3月から京都店と大阪店で始まった取り組みで毎月1回、各店の旬な売り場を紹介する。

最先端を紹介

「日本ではズボンをロールアップにはいて足をきれいに見せます」。日本の最先端ファッションのポイントを解説することも欠かさない。開始以来、売り上げが劇的に伸びた売り場もある。京都店の宮本佳子販売促進担当課長は「中国人は旅行前に念入りな下調べをする。こうした取り組みが集客には大切」と強調する。

インバウンド(訪日外国人)消費を確実に取り込むため、動画サイトやSNSなどを活用して日本へ旅行する前の中国旅行客へ情報発信する動きが急速に広がっている。小林製薬の液体ばんそうこう「サカムケア」のように、中国のネットメディアで紹介されて中国人観光客の「爆買い」の対象になった商品も多い。

高級時計店を関西で展開するオオミヤ(和歌山市)は、今年6月から中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」を使って商品や店舗の紹介を始めた。今年は大阪・心斎橋の店で中国人客の来店が前年の5倍近くに達しているという。

中国向けのSNS活用法を指南するクロスシー(東京・港)では問い合わせがひっきりなしだ。山本達郎執行役員は「2014年度は7、8件だったが15年度は20倍の150件ほどに急増した」と驚く。JTB西日本の山口浩史国際旅行営業部長は「中国人は旅行前に買い物リストを作る。日本に来てから紙の案内をいくら配っても効果はない」と断言する。

京都の歴史発信

中国への情報発信を支援するベンチャー企業も出てきた。二条城近くで京町家旅館の運営などを手掛けるNUB PROJECT(京都市)は今年春から5億人以上の利用者がいるとされる中国のチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」を使った中国人の集客支援に乗り出した。

インバウンド消費を取り込みたい店舗を訪問し、京都の文化や歴史を交えながら中国人に興味を持ってもらえる記事を執筆、微信を通じて中国本土へ発信する。現在の利用は飲食店や和装業者など7社だが、来年1月には30社まで増える予定だ。中国出身の何佳社長は「中国人客は情報発信の仕方次第で誘客できる」と話す。

中小の小売店や飲食店の中には、大きな包みを抱えた訪日客が街で目立つようになっても、「自分たちには関係ないこと」と考える層も多い。だがネットの情報発信力は、そんな店舗にも商機をもたらす可能性を秘めている。

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