2019年8月20日(火)

「iOS9」に広告ブロックさせない単純な方法

2015/11/27 6:30
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VentureBeat

デジタルメディアは現在、一種の革命の真っただ中にある。あるいは、これはむしろ冷戦なのかもしれない。果たしてどちらなのかはまだ判断できない。

米アップルはモバイル向け基本ソフト(OS)「iOS9」のリリースに伴い広告ブロック機能を推進しており、一方でオンライン全体の広告エコシステム(生態系)は収益面ではアップルの利益に反している。このため、アップルは「iTunes」対モバイルウェブのように、専用アプリを通じてできるだけ多くのコンテンツを集める方針を固めているようだ。

■ウェブ広告ブロック機能を設けた狙い

(C)Vaclav Mach/Shutterstock

(C)Vaclav Mach/Shutterstock

専用チャンネルの方が良いユーザー体験を提供できるというのがアップルの主な言い分だが、それだけではない。利益配分を通じてアップルにさらに資金をもたらすことにもなる。コンテンツの発行者は貴重なコンテンツを専用アプリに移せば、購読料やアプリ内での売り上げをアップルに分配しなくてはならない。だからこそ、アップルは広告ブロック機能をモバイルウェブ全体に広げて発行者の収入源にダメージを与え、発行者がアップルの専用アプリに移らざるを得なくし、30%の利益配分を受けるという戦略的な攻撃を仕掛けている。

この動きを考えれば、発行者は今すぐに最も貴重な資産を自らの手に取り戻さなくてはならない。

特に広告ブロックがどう機能するかを理解していれば、対抗手段は発行者にとって成し遂げられないほど難しくはないだろう。ほとんどの広告ブロック技術は基本的にはドメイン名に基づいている。このため、ネットワーク要求をチェックするブロッカーは、例えばグーグルのアドネットワーク(複数のウェブサイトをまとめて広告を配信する手法)を拒んでも、ニューヨーク・タイムズ紙はブロックしない。

■コンテンツと広告の配信を同じサーバーで

発行者に必要なのは、広告配信装置を自前で構築する場合でも完全に購入する場合でも、コンテンツ配信と広告配信の両方を自分のサーバーで手掛けることだけだ。これはあまりにも単純に思えるかもしれないが、本当にこれだけで良い。そうすれば、広告ブロッカーはコンテンツと広告を区別できないため、広告技術のバリューチェーン(と相応の収益)のかなりの部分が発行者の手元に戻ってくる。フェイスブックやヤフー、ツイッターはこのやり方で広告ブロッカーを回避している発行者の主な例だ。

さらに、トラフィックを暗号化すれば、広告ブロッカーはURLやサーバー、ドメイン、タイムスタンプ、容量しかチェックできず、コンテンツを見られなくなる。広告がコンテンツと同じサーバーで提供される上に、URLの区別がつかなければ、広告とコンテンツを具体的に識別できる要素はなくなる。

単純に思えるだろうが、実際にそうなのだ。発行者がとることができるもう1つの対抗手段は、自分のアプリ内のコンテンツを暗号化することだ。ツイッターはこれが非常に得意だ。ツイッターはアプリ内のコンテンツを全て暗号化しているため、アップルの広告ブロッキングAPIの影響を受けにくい。コンテンツと広告コンテンツの区別がつかず、その間にいる誰も(暗号化された)通信がどうなっているかを調べられないからだ。

広告ブロック機能への対抗措置として暗号化を使い始める発行者がどんどん増えれば、発行者はモバイルウェブでもアプリ内でも広告を維持できるようになる。

■オンライン広告の主導権を取り戻せるか

われわれはオンライン広告とメディアの生態系の大革命の最前線にいる。つまり、発行者が立場を明確にし、かつての支配を取り戻せるかどうかだ。発行者は誰もが必要とするコンテンツを持っていることを認識しなくてはならない。発行者はあまりにも長い間(アップルに)支配を許してきたため、アイデンティティーの危機に苦しんでいる。だが、今こそオンライン広告のバリューチェーンの頂点に立つ自らの地位を取り戻すべきだ。このチャンスをありのままに捉え、広告技術をめぐるこのチェスの戦いでついに「チェックメート(王手)」と宣言してもらいたい。

By Pieter Mees(ベルギーに拠点を置く双方向の動画配信サービス、ゼントリックの創業者で最高経営責任者)

(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)

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