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ドーピングの深い闇 ゆがめられたスポーツの価値
編集委員 北川和徳

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2015/11/20 6:30
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スポーツ大国ロシアの国家ぐるみと指摘された大規模なドーピング(禁止薬物使用)疑惑が、世界のスポーツ界を揺るがせている。国際陸連(IAAF)はロシア陸連に暫定的な資格停止処分を科し、世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシアの反ドーピング機関を「不適格組織」に認定した。このままでは来年のリオデジャネイロ五輪から、前回ロンドン大会で金メダル8個を獲得したロシアの陸上選手は除外される。時間の余裕はまだあるが、2018年のサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開催さえ危うくなる。

疑惑、陸上競技だけにとどまらず

とりあえずはロシアが国際陸連の処分を受け入れる姿勢を示し、これ以上の事態の悪化は避けられる見通しとなっている。今のところ五輪ボイコットはロシアの選択肢にはないとみる。外電によると、ロシアはドーピングに関与したコーチや役員、選手のすべてを処分することを約束し、国際陸連の監視チームも受け入れ、再発防止の態勢を整えるという。だが、「違反の責任は個々人が負うべきだ」(プーチン大統領)と、あくまで国などの組織的な関与を認めるつもりはない。当面は、ロシア側が国際陸連など外部による調査にどんな対応をするかを見守る必要がある。

WADAの第三者委員会の報告書には本当に驚いた。モスクワのWADA公認検査所の所長が陽性反応を見逃す見返りに金銭を要求したとか、ロシアの反ドーピング機関の検査官が抜き打ち検査のスケジュールを選手に教えて日常的に金銭を受け取っていたとかは、まだ恥ずべき収賄体質のまん延と言い訳ができるかもしれない。だが、モスクワ市が所管する「第2の検査機関」が存在し、ここで陽性検体を陰性検体とすり替えていたとなると、行政組織の関与が濃厚となる。

さらに報告書は、公認検査所にロシア連邦保安局(FSB)が頻繁に出入りしていたことから国家による干渉や圧力があったとまで指摘。明らかな証拠はないとしながら、国が関与した強い疑いを示している。

疑惑は陸上競技だけではないと考えて当然だろう。本当に全容が解明されることになれば、他の競技にも広がり、ロシアが地元開催で最多の33個のメダル(金13、銀11、銅9)を獲得した昨年のソチ冬季五輪も疑われることにならないか。WADAや国際陸連の今後の調査が国家ぐるみの悪事を暴く事態に進んでいけば、ロシアが強硬姿勢に転じる可能性は否定できない。

過去のスキャンダルと次元異なる

ドーピングを巡っては、過去にも衝撃的なスキャンダルがいくつもあった。1988年ソウル五輪陸上男子100メートルのベン・ジョンソン(カナダ)。がんから復活して99年から2005年まで自転車のツール・ド・フランスを7連覇した英雄ランス・アームストロング(米国)。03年に発覚した米国の栄養補助食品会社「バルコ」に絡んだ疑惑では、陸上女子短距離のマリオン・ジョーンズ(米国)や米大リーグ、米プロフットボール・NFLのスター選手たちの大量ドーピングが発覚した。

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