米で広がる定額制 グーグルがフィットネスに出資
定額制の米フィットネス利用サービスであるクラスパスが米グーグル傘下の投資会社グーグル・ベンチャーズから資金という形でお墨付きを得つつある。クラスパスがグーグル・ベンチャーズ率いるベンチャーキャピタルから3000万ドルを調達したことが、この件に詳しい複数の関係者の話で明らかになった。1月に発表された4000万ドルの資金調達に続く増資となる。
月99ドルでトレーニングし放題

クラスパスは2011年に米アクセラレーター「テックスターズ」の支援を受けて設立されて以来、頭角を現してきた。当初は「クラスティビティ」の名でフィットネスクラスの検索サイトとしてスタート。事業の拡大に伴い、利用をさらに促す手段として月10回のクラスを50ドルで受講できるパス(本質的にはグルーポンに非常に良く似ている)の提供を始めた。
だが、クラスティビティの「パスポート」では生徒がスタジオに定着しなかった。そのため、創業者のパヤル・カダキア氏が方針を転換し、月99ドルでフィットネスやヨガ、ダンスのクラスを無制限に利用できるクラスパスを13年に始めた。ただし、利用者は同じスタジオに月3回までしか通えないという制限がある。このサービスはフィットネス教室にとっては新規顧客を開拓でき、消費者にとっては旅行中でも様々なエクササイズを継続できるメリットがある。
グーグルはクラスパスにとって適切なタイミングで出資するようだ。クラスパスはこの2年間でサービスを35都市に拡大しており、そのうち5都市は米国外だ。さらに4月には、主なライバルだったフィットモブを買収した。
この成長ぶりには懸念も出てきている。クラスパスの一部の顧客は、好きなクラスに参加しにくいと不満を訴えている。スタジオの所有者側も、クラスパスでやって来る顧客は一般客に悪影響を与えかねない、と、ある記事で明かしている。クラスパスの利用者は受講料が割安で、たまにしかクラスに参加しないので他の生徒の足手まといになる可能性があるとの批判もある。
摩擦を起こす急成長ぶり
クラスパスは7月に値上げした際、報道からさらに深刻な打撃を受けた。同社はニューヨーク市での価格を25%引き上げ、一部ユーザーがサービスの解約も辞さない姿勢を示す事態を招いた。
サービス開始当初からの一部利用者の支持は失ったものの、クラスパスはなお成長しつつあるようだ。同社によると、このシステムで予約されたクラスは1000万を超えたという。クラスパスがもっと多様なエクササイズシステムを求める利用者のニーズを満たしていないとは言い難い。利用者離れにもかかわらず、グーグル・ベンチャーズはこの潜在力に注目しているようだ。
By Ruth Reader
(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)
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