2019年5月24日(金)

チャレンジ!パラスポーツ最前線

フォローする

激しさの裏に緻密な戦略 車いすバスケ、見る者を魅了

(1/2ページ)
2015/11/27 6:30
保存
共有
印刷
その他

10月10~17日の8日間、千葉ポートアリーナ(千葉市)で、車いすバスケットボールのアジア・オセアニア地区のチャンピオンを決めると同時に、2016年に開催されるリオデジャネイロ・パラリンピックへの出場権を懸けた、「2015 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ千葉」が開催された。一般にはまだあまり馴染みのない車いすバスケだが、今大会は見る者を熱狂させた。このスポーツの魅力、そして抱える課題とは何か。

ある男性は「想像以上の激しさがあってビックリした」と驚嘆した。ある女性は「何であんなに速く動けるんだろう。アスリートとして純粋にかっこよかった」と感嘆した――これは、「車いすバスケットボール」の試合を初めて見た人々の感想だ。

男子日本代表を引っ張ったエース・香西宏昭。大会ベスト5にも選ばれ、リオでの活躍も期待される(写真:土屋季之)

男子日本代表を引っ張ったエース・香西宏昭。大会ベスト5にも選ばれ、リオでの活躍も期待される(写真:土屋季之)

車いすバスケは、いわゆる「障がい者スポーツ」の競技の一つだ。障がい者スポーツというと、どうしても「リハビリ」「レクリエーション」というキーワードが連想され、「激しさ」「スピード」というイメージは涌きにくい。「障がいを持つかわいそうな人々が行うスポーツ」という目でみられてしまうことすらある。しかし、実際に生で観戦した人々から漏れるのは、そうした感想ではない。

IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ千葉で初めて車いすバスケを目にしたひとりで、ソウル五輪の金メダリスト、スポーツ庁初代長官の鈴木大地氏も「激しくてアグレッシブで、恐れずに相手にぶつかっていく。選手たちはアスリートであって、ファイトあふれるプレーには感銘を受けました。通常『障がい者スポーツ』というと、こういった激しいイメージは抱かないので、別の呼び方を考えていきたいと思う」と、競技を見た感想を語った。

試合会場には車いす同士がぶつかり合う音が響き、コートとタイヤの摩擦によってゴムの焦げる匂いがしてくる。車いすを操る選手たちの腕はプロレスラーのように太く、間近で見ると圧倒される。このスポーツは、「可哀想」という感情どころか、その激しさと闘志から、見る人に興奮と、アスリートに対する尊敬の念を与えるスポーツといえる。

激しい接触、転倒も多く、ときには衝撃で車いすが壊れることもある(写真:久我 智也)

激しい接触、転倒も多く、ときには衝撃で車いすが壊れることもある(写真:久我 智也)

■もう一つの魅力、「戦略性」を演出する独自のルール

パラリンピック競技の中でも花形といわれる車いすバスケ。では、具体的なルールはどのようなものなのか。

日本人の多くは、細かいところまでは分からなくとも、一般のバスケットボールのおおまかなルールはご存じだろう。車いすバスケのルールも、車いすを使用すること以外はほとんど同じである。コートの広さ、ボールの大きさ、ゴールの高さも、もちろん同様だ。座ったままスリーポイントシュートを決めることもまれではない。ただし、一般のバスケとは異なる特徴が一つある。それは、選手にクラス分けが存在することだ。

選手たちには、障がいに応じて持ち点が設定されている。障がいが重い選手から順に1.0~4.5点までのクラスがある。そして、コート内でプレーする5人の持ち点の合計を14.0点以内にしなくてはならない。このルールがあることで、障がいのレベルが偏らず、公平な条件でゲームが展開されることになる。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

障害者スポーツのコラム

20年東京五輪のコラム

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップスポーツトップ

チャレンジ!パラスポーツ最前線 一覧

フォローする
MWCCで初優勝を果たした男子日本代表

 車いすバスケットボール男子日本代表が6月8~10日に武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布)で行われた国際大会「三菱電機ワールドチャレンジカップ(MWCC)」で初優勝を果たした。2016年リオデジ …続き (2018/6/19)

合宿で練習する日本代表。日本でアイススレッジホッケーの灯を絶やさないためにも、平昌パラ出場は絶対条件だろう

 28日から北海道苫小牧市の白鳥王子アイスアリーナで、2018年平昌パラリンピック最終予選の出場権をかけたアイススレッジホッケーの世界選手権Bプール(2部に相当)が開催される。
 10年バンクーバー・パ …続き (2016/11/24)

女子で16連覇しているオランダの牙城を崩すには上地の活躍が欠かせない

 車いすテニスの国別対抗戦ワールドチームカップが23日から28日まで、東京都江東区の有明コロシアムと有明テニスの森公園で行われる。健常者テニスの国別対抗戦であるデビスカップ(男子)やフェドカップ(女子 …続き (2016/5/21)

ハイライト・スポーツ

[PR]