2019年6月26日(水)

世界選手権、抜群の勝負勘発揮 陸上・鈴木亜由子(上)

2015/11/21 6:30
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8月に北京で開かれた陸上の世界選手権。日本勢が「メダル1、入賞2」と寂しい結果に終わったなか、最終日に希望の光を放った選手がいた。アフリカ勢が席巻する中長距離種目の一つ、女子5000メートルで9位と健闘した鈴木亜由子(日本郵政グループ)だ。

30日の決勝は14分26秒83の大会新記録で優勝したアルマズ・アヤナらエチオピア勢が表彰台を独占、4~7位はケニア勢が占めた。最後の入賞枠の8位争いで、鈴木はオランダの選手に0秒29差で敗れた。

僅差で世界陸上入賞を逃し、「そこが自分の弱さと改めてわかった」

僅差で世界陸上入賞を逃し、「そこが自分の弱さと改めてわかった」

15分8秒29の自己ベストにも、鈴木は僅差で入賞を逃したことに「そこが自分の弱さだなと改めてわかった」と反省する。だが、日本郵政グループ監督の高橋昌彦はこのときの走りに可能性を感じ取った。

高い心肺機能、高低差も苦にせず

スタートしてすぐに尾西美咲(積水化学)が先頭に立ち、1000メートルを3分1秒65で通過した。その後トップに立ったのが鈴木で、2000メートルの通過タイムは6分6秒27。最初の1キロより4秒以上遅い。このペースダウンが「賢い判断だった」と高橋は分析する。

後半の海外勢の加速に対応できるよう、あえてペースを落としてスタミナの温存に努めたというのだ。ペースが落ちたことに不安を覚えたアフリカ勢が2000メートルを過ぎて加速。あっという間に引き離された鈴木だったが食い下がり、3000メートルからの2キロは5~7位のケニア勢より速い5分59秒27。巧みにペースを操った前半の貯金が生きた。

愛知県出身。中学2年のときに全日本中学校選手権の女子800メートルと1500メートルで優勝、3年でも1500メートルを制した。名古屋大4年で出たユニバーシアードは1万メートルで優勝し、5000メートルでも3位。身長154センチ、体重39キロと小柄ながら、バネの利いた走りで将来を嘱望されてきた。

高橋は鈴木の特徴として、高低差のあるコースを苦にしないことと、心肺機能の高さを挙げる。高地でのトレーニングに強く、米ボルダーでの合宿では呼吸が乱れることなく「平気な顔をして走っている」。

名将、小出義雄の下で有森裕子や高橋尚子のコーチを務め、大南博美・敬美の姉妹らも指導した高橋の話からは、鈴木が過去の教え子に引けを取らない逸材であることがうかがえる。

将来的にマラソンでの活躍も期待

左右の足のバランスが悪いことから故障しやすく、現段階では高いレベルの練習を積んでいないが「大南たちのようにハードな練習ができれば(5000メートルで)14分台はすぐに出る」。今年の世界選手権を14分台で走ったのはわずか4人だ。体の異変にすぐ気付く繊細さや、世界選手権のように機を見て思い切りよく前に出る姿は有森に似たものがあるといい、「勝負勘は抜群」と話す。

既に5000メートルと1万メートルでリオデジャネイロ五輪の参加標準記録を突破し、来年、出場権の獲得を期す。将来的にマラソンでの活躍も期待される24歳。まずは長距離で最高峰の舞台を目指す。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊11月16日掲載〕

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