2019年1月24日(木)

[FT]インド、マギー即席麺の騒動が示す落とし穴

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2015/11/12付
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Financial Times

スイス食品大手ネスレの即席麺マギーが2014年、歯磨きのコルゲートやせっけんのデトール、携帯のノキアと共に、インドで最も信頼できる消費者ブランドとして公表された際、インド主要経済紙エコノミック・タイムズのウェブサイトでバンガロールの評論家がこう論じた。「インド、そしてインド政府がこのリストから全外資系ブランドを一掃する時が来た」と。

■即席麺4億個を廃棄する羽目に

その時偶然にも、大臣の1人が名付けた「インスペクター・ラジ」と呼ばれる同国の規制当局がまさに行動を起こそうとしていた。食品検査官は1月、インド北部ウッタルプラデシュ州の店頭からマギーを回収させ、それを皮切りに起きた一連のばかげた騒動で、ネスレは結果的に罪のない即席麺4億個を廃棄する羽目になった。ネスレの世界の売上高が落ち込んだことが判明した今週になってようやくマギーが店頭に戻ることになった。

改革派のインドのモディ首相は今週、外国直接投資の際の障壁緩和を後押しした、同氏が掲げる「メーク・イン・インディア(インドで作ろう)」を携え、多国籍企業へアピールすべく英国とトルコを訪問している。しかし、マギー即席麺の一件は、同国指導者の言っていることに課税当局や食品検査官、地元の官僚などが従わないことはよくあるということを明らかにしている。

係争の根拠を基にした申し立てによると、ネスレの即席麺には基準値以上の鉛が含まれているとされ、インドの中核的な食品検査機関はモディ氏の外資歓迎の姿勢を無邪気にも台無しにした。多国籍企業の中には、新興市場には意欲旺盛な顧客があふれているような、かつて期待したような有望なだけの市場ではないとの認識が高まっていたところに、今回の一件が追い打ちをかけた。これらの市場は簡単に足をすくわれる厄介な領域なのだ。

ある意味、多国籍企業はそのことをずっと知っていた。よっぽどの無知でなければ、米国のシンシナティに進出することと中国へ進出することを同じくらい簡単だとは思わないだろう。とはいえ、特ににこやかな政治家や、巨大な未知の世界に飛び込む見返りに引き寄せられたときには、リスクを封じ込めることも可能に見えた。だが実際には、いくらか実現できた少ない見返りよりも落とし穴の方が多かったのだ。

経済環境は助けにならない。中国の成長率は低下し、ブラジルやロシアは今年、経済の縮小が予想されている。米ゴールドマン・サックスは、成績不振を理由にブラジルやロシア、インド、中国からの利益に特化した「ブリックス・ファンド」を閉じた。外国人投資家は急速な成長の波にもはや乗ることができなくなっている。

一方、規制の失敗は増えている。インドで展開する多国籍企業には特に税を巡る問題が目立つが、ネスレの即席麺の複雑な状況は一連の他社の問題に続くものだ。英ボーダフォンは10月、数億ドルに上る債務を課そうとした同国課税当局の取り組みを巡ってムンバイ高裁で勝訴した。また同高裁は14年、同様の申し立てに対してシェルに有利な判決を下した。

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