中国の懐に飛び込んでしまった英国

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2015/10/29付
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英国のジョージ・オズボーン財務相が、英国が中国政府にとって「西側世界で最良のパートナー」になり、中国と「最高の関係」を結びたいという意向を表明したことに、反対があるとすれば一体何か。

そもそも世界第2位の経済大国である中国と、貿易や投資を通じて堅い絆で結ばれることを望まない国はない。それでもオズボーン氏が、世界最大級の成長のけん引役である中国経済との直接取引という、多くの国々が明らかに抱いている望みを高らかに表明したことに、英国内外の批判者たちはあっけにとられたようだ。

さまざまな点で、オズボーン氏は、すでにかなり緊密な英中の経済関係をひたすら強化しようとしている。英国の銀行は、世界のどの銀行よりも、中国に多額の貸し付けを行っている。2015年8月末の時点で、英国の銀行の中国に対する融資残高は、米銀行の融資額の約2.5倍に相当する、2212億ドル(約26兆6000億円)に達する。また中国は、海外でも最大の、英国の高級不動産の購入者であり、英国内の留学生を出身地別でみれば中国は最多だ。しかも英国は、欧州連合加盟国中、中国による直接投資の最大受け入れ国になっている。

英中両国は、ゆくゆくはロンドンを「人民元による貿易と決済、清算の拠点」とすることで合意に達したようだ。とはいえ貿易については、英国はやや立ち遅れている。英国にとって中国は、7番目に大きな輸出市場にすぎない(輸入相手国としては2番目に大きい)。

■「ほかのすべてに目をつぶる」

では、何が今回の懸念の原因なのか。一つには、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)で政治・外交の論説を担当するフィリップ・スティーブンス氏が述べているように、「経済関係を優先するには、ほかのすべてに目をつぶる必要があると英国が考えている」からだ。

経済優先のオズボーン氏の姿勢は、人権問題に一番明瞭に表れている。中国の人権問題は、英国と中国の協議事項の末尾を占めるどころか、協議事項にすらなっていないとみえる。

チャールズ皇太子が、ダライ・ラマ14世とチベット人の権利擁護を時折訴え、先ごろ、ウィリアム王子が象牙の違法貿易の取り締まり強化を中国に求める声明を発表しているにもかかわらず、英国政府は中国に対する懸念を、同じように表明する姿勢を見せていない。 この2年間、キャメロン首相はダライ・ラマ14世との面会を拒否している。またオズボーン財務相は、中国で最も過酷な政治的弾圧が行われている地域の一つ、新疆ウイグル自治区を訪れたが、人権問題には言及しなかった。さらに在中国の英国大使は、中国の現代芸術家、アイ・ウェイウェイ氏に対する6カ月間のビザの発行を拒否した(この決定はのちに覆された)。

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