ベルギー、サッカー「世界1位」へ 育成成功で躍進
スポーツライター 木崎伸也

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2015/10/29 6:30
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人口約1100万人の小国が、サッカーの歴史に名を刻む。欧州の各メディアによれば、ベルギーが11月に発表される国際サッカー連盟(FIFA)ランキングにおいて、初めて1位に立つことが確定したのだ。これまで同ランキングで首位になったのは7カ国(アルゼンチン、ドイツ、ブラジル、イタリア、スペイン、フランス、オランダ)のみ。すでにベルギーは2014年ワールドカップ(W杯)でベスト8に進出しており、今後、さらなる飛躍が予想される。

15年前から進む育成、3つの取り組み

ベルギーは1980年代に国際舞台で存在感を放ったが、02年の日韓大会以降、12年間もW杯から遠ざかっていた。なぜ低迷を乗り越え、「世界ランク1位」になれたのだろう。

答えはシンプルだ。育成に成功して、ワールドクラスの選手が次々に現れたからである。チェルシーのアザール(24歳)とクルトゥワ(23歳)、マンチェスター・シティーのデブライネ(24歳)とコンパニ(29歳)、ドルトムントのヤヌザイ(20歳)、バルセロナのフェルメーレン(29歳)、トットナムのフェルトンゲン(28歳)とアルデルヴァイレルト(26歳)、ゼニトのヴィツェル(26歳)、そしてマンチェスター・ユナイテッドのフェライニ(27歳)。この他にも若きタレントがごろごろいる。

今年6月、フェライニがニューバランスの新スパイク発表イベントで来日したとき、こんなことを言っていた。

「いま世界中の人が、ベルギーで育ったタレントに注目している。選手のひとりとして、とても光栄なことだ。アンデルレヒト、スタンダール・リエージュ、クラブ・ブルージュ、ゲントは素晴らしいアカデミーを持っている。しっかりとした育成によって、今後ベルギーはさらに強くなるはずだ」

ベルギーにおいて育成の機運が高まったのは、00年にオランダと共催した欧州選手権(ユーロ)前後のことだ。このときの3つの取り組み、「オランダとの協力」「フランスとの協力」「組織的監査の導入」――によって、ベルギーサッカー界は大きく変わることになる。

言語と文化の壁、多様性という強みに

かつて大きな障害になっていたのは、国内における"言語"の壁だ。ベルギーは主にオランダ語を話す北部(フラマン人)、フランス語を話す南部(ワロン人)、その混合のブリュッセル地域に分かれており、それぞれが自治権を持っている。言語が異なるために対立しやすく、ひとつの国という意識が弱い。

歴史的にベルギー代表はフラマン人の選手が多かったことから、「ワロン人は代表監督にしない方がいい」という論調すらあった。ちなみに02年W杯でベルギーを率いたワセイジュはフラマン人で、06年W杯出場を逃したアンテュニスはワロン人だった。長らく言語と文化の違いが、内紛の原因になっていた。

しかし、見方を変えれば、その多様性はベルギーの強みでもある。北部はオランダと、南部はフランスと関係を深め、のちに"いいとこ取り"を実現する。

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