ランチを制するものは仕事を制す

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2015/10/22 6:30
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「最近、健康的な昼食がとれていない」「気がつくと昼を抜いている」――。入社7カ月が過ぎた新人探偵(24)の周囲からはそんな嘆きが聞こえる。腹が減っては戦はできぬ。働く若手のランチ事情をのぞいてみた。

■社食は無料、きっかり1時間

料理家2人が持ち回りで献立を担当するはてなの社員食堂(東京都渋谷区)

料理家2人が持ち回りで献立を担当するはてなの社員食堂(東京都渋谷区)

「いろいろな社食を食べ歩きましたが、キングオブ社食と言えば専門の食事スタッフのいる『はてな』です」。ある事情通の証言を頼りに東京・表参道駅から徒歩5分。根津美術館の隣という閑静な場所にある情報サイト運営のはてなを訪ねた。

午後1時、食堂のある3階の廊下に社員の列ができた。ランチの時間だ。楽しそうな笑い声が響きわたり、湯気が出る料理が運ばれてきた。修学旅行を思い出す大きな炊飯器で炊かれた真っ白なご飯に、味噌汁、豆や野菜がバランスよく調理されたおかず。

「ランチも、それ以外の軽食も全て無料です。財布を家に忘れたとしても何も困りませんね」。人事・総務部長の松田光憲さんはこう説明する。無料とは随分太っ腹だ。

東京本店の従業員数は約40名。自前で給食設備を持ったり、外部の社食会社を入れるほどの規模ではない。近隣のマンションの一室を使い、契約している料理家2人が持ち回りで給食を担当している。どちらかというと、「まかない」という言葉が似合う。2007年の夏、京都の本社でこの「まかないランチ」の制度は始まった。当初、女性スタッフが「皆で食べよう」と家でカレーを作ってきたのがきっかけだという。

お腹をすかせた探偵も、さっそく頂くことに。広報担当者の加藤有理さんは「特にエンジニアの人は、人によっては食事を忘れて作業に没頭したり、インスタント食品が続いたり。健康管理の一面も兼ね備えています。何しろ、手作りですから」と話す。

取材に熱中していたが、気づくと午後2時。食堂から社員が消え、先ほどのにぎやかさが嘘のよう。

広報の加藤さんが、わが意を得たり、という表情で説明した。「昼の時間は午後1時から1時間と決まっています。12時59分までランチの心配をせず、仕事のことを考えていられます。一斉に休んで、仕事に戻れるのも効率的です」。総務部長の松田さんも、「近所のコンビニや店までは往復で10分程度かかるので、1日2回コンビニに行くとしたら計20分のロスにもなりますし」。

おいしい食事の裏には、実に戦略的な思惑があったことを知り、思わず箸が止まった。

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