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勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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魂揺さぶるラグビー日本、未来からのエネルギーも力に

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2015/10/10 6:30
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指導者には大きく分けて4つのタイプがいる。「情熱家」「放任主義者」「哲学者」「権力者」である。サッカーの世界では情熱家はファーガソン元マンチェスター・ユナイテッド監督、放任主義者はデルボスケ現スペイン代表監督、哲学者はグアルディオラ現バイエルン・ミュンヘン監督、権力者はモウリーニョ現チェルシー監督が典型とされる。いずれにしても、これからのリーダーは強烈な個性よりも、グループで勝つために選手一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出せる能力が必要になる。そういう個の力を伸ばして全体の底上げにつなげる能力がエディーさんにはあるのだろう。

選手、常とは違うもの背負いプレー

もう一つ指摘しておきたいのは、今回の日本代表の躍進には日本ラグビー全体のベースが上がっていることが絶対にあるということ。要は日常的な鍛錬の場であるラグビーのトップリーグのレベルが着実に上がっているのである。そうでなければ、これほどの成果は得られないはずだ。トップリーグのスポンサー企業などの支える力ももっと評価されていいだろう。

南アを追い詰める日本の選手の表情を見ながら、背負っているものが常とは違う気もした。彼らは今、日本におけるラグビーの環境を少しでも改善しようと必死になって闘っているようにみえる。そういう思いが顔に出ている。日本は4年後のW杯のホスト国。それだけに、W杯でろくに勝てないままの日本では、W杯を開催しても格好がつかないという思いが激しくあるのだろう。そういう意味では2019年という未来からのエネルギーも今のチームは力にしているように思う。

ラグビーのW杯において1次リーグで3勝しても決勝トーナメントに進めないのは史上初のケースになるらしい。1次リーグ最終戦で米国に日本が勝つと、そういう事態が起こりうる。非常に残念ではあるが、選手は確かな手応えを得て、次のステップに進んでくれることだろう。

私は実績なきところに真の自信もプライドもないと思っている。日本のサッカー界では特に育成年代の指導者が負けた後に「内容は良かった」と平気で言い訳することが多い。私にはあり得ない話に思える。その点、今回のラグビー日本代表は本当に値打ちのあることをやり遂げたと思う。W杯で南ア、サモアに勝ったという結果は紛れもない実績となって選手にプライドを植えつけるだろう。

しつこいようだが、南ア戦の最終局面で日本の選手たちがPGによる同点を選択しなかったのは、1ミリでも相手より先んじてゴールインすることが大事だと思ったからだろう。そうやって勝ちにこだわるのがスポーツだということだ。内容にこだわるのも結果を出すためで、結果が伴わない内容など常に見直しの対象とすべきなのである。「内容は良かった」などと負けて自慢することなどありえないのだ。

言い訳する代わりにしっかり修正

日本のラガーメンはスコットランドに負けた後、言い訳がましいことは言わなかった。日本戦が初戦だったスコットランドに比べたら、日程的に大きな不利を抱えてベストの状態ではなかったのに(だからあれほどミスが出たのだが)、スケジュールその他についての不平不満を口にしなかった。

おそらく、選手たちは、南ア戦とスコットランド戦でいろいろな違いを感じ取ったことだろう。そういう試合を踏んだことで、W杯では、やるべきことをやらないと負けることがあらためて身に染みた。だから言い訳はしなかった。言い訳をする代わりに、しっかり修正すべき点を修正し、次のサモア戦の中身に反映させてみせた。このメンタリティーにはすごく期待できる。11日(日本時間12日未明)の米国戦も楽しみだ。

(サッカー解説者)

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