
日経Automotive 2015年11月号
特集1:クルマの革新は内装で
Close-up:排ガス規制で不正発覚 揺れるVW社、CEO交代へ
Automotive Report:マツダの次世代プラットフォーム FRへの刷新を検討開始、など
マツダは複数の部品メーカーに、2020年頃の発売を想定した車両のRFQ(Request for quotation:見積もり依頼書)を提出した。RFQに対するフィードバックを見て最終的に判断する。仮に量産を決断すると、2020年頃の全面改良が予想される「CX-5」や「アテンザ」からFRプラットフォームを採用する可能性が高い(表)。
FRに転換する最大の目的は、ブランド価値の向上にある。FRの方が運動性能が高く、運転する楽しさを顧客に訴求しやすくなるからだ。
かつて、国内メーカーが手掛ける中型以上のセダンはFRが主流だった。しかし、FFは部品点数の削減、軽量化による低燃費を実現できるため、国内メーカーのほとんどのクルマがFFへ移行した。マツダも2012年、C/Dセグメントの車両をFFの「SKYACTIV(スカイアクティブ)」プラットフォームに変更し、CX-5から採用し始めた(図)。
一方、ドイツBMWやトヨタ自動車の「レクサス」など高級ブランドの主力車種はFRのままである。SKYACTIV技術でブランド価値を高めているマツダがFRへ転換することは、高級ブランドへのシフトを意味する。
実は、FRへの刷新に必要な設備投資額はさほど大きくならない見込みだ。
マツダは広島・宇品工場でFRの「ロードスター」とFFの「CX-3」などを混在生産している実績がある。「多品種少量生産のノウハウを持っており、(仮にFR化の決断をしても)投資額は大きくならない」(マツダ幹部)と考えているという。
マツダの技術者からは、「悲願のFR化に挑戦したい」との声も出ている。
(日経Automotive 佐藤雅哉)
[日経Automotive2015年11月号の記事を再構成]