[FT]VWの不祥事が脅かすドイツの経済モデル

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2015/10/6付
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大半のスキャンダルは収束する。一部のスキャンダルは危機に発展する。フォルクスワーゲン(VW)は後者のたぐいになるだろう。VWの排ガス試験での不正から生じる罰金と損害は、合計すると軽く1000億ユーロを超える可能性がある。経済損失の総額はその数倍に上り、ドイツがギリシャのユーロ圏離脱から被る可能性のあった被害額を上回る。

それ以上に重要なことは、VWのスキャンダルがドイツの経済モデルを狂わす可能性を秘めていることだ。ドイツの経済モデルは、ちょうど自動車産業がディーゼル技術に過度に依存してきたように、自動車産業に過度に依存してきたからだ。

一方で、ドイツ政府は自動車業界を甘やかし、国外で業界の利益を代表している。「VW法」は事実上、敵対的買収から会社を守っている。そして、2000年代の労働改革を策定したのは、元VW取締役のペーター・ハルツ氏だ。

その見返りに、業界は地域の雇用安定に貢献している。また、監査役会(日本の取締役会に相当)の議決の規則は、労働組合の明確な同意がある場合に限って、生産をドイツ国外へ移転できる仕組みになっている。いいかえると、移転できないということだ。

マクロ経済的なリスク管理の観点からすると、愚かな戦略であり、金融業界に対する英国の過剰依存と似ている。このような戦略はうまくいくが、その後、全く機能しなくなる。

■独の車産業依存は世界一

より広範な経済的インパクトを測るためには、業界の規模感を知る必要がある。自動車業界は公式統計が示唆する規模よりずっと大きい。公式統計は各業界の相互依存性をとらえていないからだ。

自動車業界は他業界の財とサービスの買い手として断トツに最大の業界だ。マンハイム大学が08年に公表した研究によると、自動車業界は04年にドイツ全体の粗付加価値の7.7%を占めており、その比率は世界のどの国よりも高かった。2位は5%の韓国で、大半の欧州諸国は2~4%の範囲内に収まっていた。自動車業界、そしてドイツの製造業全般はそれ以来、好調だった。現在、この数字が大きく異なるとは思えない。

この状況は何通りかの形で崩れる可能性がある。業界にとって最善の結末は、調整が徐々に進む期間が訪れることだ。人生は通常、それほど優しくない。それより起きる可能性が多少高いのは、調整が加速する事態だろう。

VWは米国の自動車販売ブームを逃している。このため、損失はすでに生じている。積み上がると、商業的損失はどんな法的ダメージのコストをも優に上回る可能性がある。市場シェアを維持するために、VWは値引きせざるを得ない。値引きと販売台数減少の組み合わせは、利益低下が一定期間続く前兆だ。

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