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ラグビー代表の心支える W杯メンタルコーチの荒木さん

南ア戦、乳児連れサポート

ラグビー・ワールドカップ(W杯)イングランド大会で、過去2度優勝の強豪南アフリカを破った31人の日本代表選手。歴史的勝利の裏には精神状態をサポートするメンタルコーチ、荒木香織さん(42)の存在があった。乳児を抱え南ア戦まで帯同して帰国したが、「大舞台を楽しめれば結果もついてくる」と決勝進出を目指す「チームメート」の躍進に期待する。

五郎丸選手のキック時の心理状態を調べるなど、ラグビー日本代表のメンタルトレーナーを務める兵庫県立大の荒木香織准教授(京都市下京区)

兵庫県立大准教授の荒木さんがラグビー日本代表初のメンタルコーチに就任したのは2012年7月。ラグビー選手の指導経験、英語力、スポーツ心理学の学位――。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(55)の条件に荒木さんが合致した。

「試合前日に緊張で眠れない」「試合中のミスでパニックになってしまう」。選手たちの相談に対し、スポーツ心理学に基づいてアドバイス。同じジャージー姿で距離も縮め、気軽に相談できる関係づくりを心掛けた。

ボールを回して地面に置き、後ろに3歩、左横に2歩動く。腰を少し引いて胸の前で拝むようなポーズを取った後、8歩助走して蹴る――。五郎丸歩選手(29)のプレースキック前の一連の動きは荒木さんとの対話の産物だ。

「五郎丸に安定感をつけて要の選手にしてほしい」。ヘッドコーチから依頼された荒木さんは「ルーティーン(決まった動作)」と呼ばれるスポーツ心理学の概念を適用。イングランドの名キッカーを参考にしていた感覚的な動きを6項目に分けて10点満点で自己評価しながら同じ動きを繰り返すことを決めた。試合でもルーティーンをこなして集中できるようになり、南ア戦で9本中7本を成功させた。

サモア戦を控えキックの練習をする五郎丸選手=共同

「イングランドまで来てくれ」。生後11カ月の長男を抱え、W杯まで同行する予定はなかったが、チーム出発の4日前、ヘッドコーチから電話がかかってきた。「エディーさんに初めて『無理』と言いました」。荒木さんは笑う。

「選手たちが必要だと言っている」「ベビーシッター同行で」。説得された末、長男とシッターと共に、南ア戦までの帯同を決意した荒木さん。試合3日前のミーティングでは「大舞台の緊張は当然。これだけのプレッシャーを特別な経験として楽しんで」と説いた。

引き分けを狙わず逆転勝利に賭けた南ア戦のラストプレー。「全員が同じ判断をしたときはうまくいく。いざという場面で同じ判断ができるコミュニケーションの練習もしていた。必ず成功すると思っていた」という。

帰国後も無料通信アプリLINE(ライン)で相談が届く。スコットランドに惨敗後も「大会を楽しんでいる様子が伝わってくる。精神状態は良い」と手応えは残る。3日午後(日本時間同日夜)は決勝トーナメント進出に向けた大一番となる1次リーグ第3戦のサモア戦。「勝ち負けを意識し過ぎると雑念が出る。今まで通りの準備で臨んでほしい」とエールを送る。

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