2018年8月19日(日)

利益率3割 日本企業が失ったアップル大もうけのカギ
北山一真 プリベクト代表取締役

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2015/10/21 6:30
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日経テクノロジーオンライン

 イノベーションを生み出す企業の代表とも言える米Apple(アップル)は、業績面でも超が付くほどの優良企業だ。例えば、2014年度(2014年9月27日を末日とする会計年度)では、売上高が約18兆円、営業利益率が約30%と驚異的な数値をたたき出し、直近の2015年度第3四半期(4~6月)でも前年同期比で売上高が33%増、純利益が39%増と、第3四半期で過去最高を記録した。Appleはなぜ、こんなにもうかるのか。本当の理由を、管理会計および技術領域の改革を融合したコンサルティングを手掛けるプリベクトの北山一真氏に解説してもらう。

Appleが2015年9月に発売した、「iPhone 6s」(左)と「同6s Plus」(右)

Appleが2015年9月に発売した、「iPhone 6s」(左)と「同6s Plus」(右)

 革新的な製品である「iPhone」が、莫大な売り上げをAppleにもたらしていることは理解できる。しかし、30%もの営業利益率を実現している理由は、あまり知られていない。

 一般に、販売台数が多いからといって、必ずしも利益率が高いとは限らない。Appleには、もうかるための仕組みがある。そして、それは1970~1980年代の古き良き日本のメーカーが実践していた設計手法と極めて似ている。

 現在、日本のメーカーは、「技術力はあるのにもうからない」「コンペで負ける」といった課題を抱えている。そうした状況を打破するためにも、Appleのもうかる仕組みを学び、自社に取り入れる必要がある。

■製造業は「固定費回収モデル」

 そもそも、製造業において「もうける」とはどういうことなのか。まずは、そこから解説しよう。下の図は、製造業のコスト構造を模式化したものである。

製造業の「もうけ」の本質

製造業の「もうけ」の本質

 製造段階以降に部品費などの変動費(生産量に応じて増える費用)が発生するのに対し、製造段階以前は研究費/設計費/設備費/金型費などの固定費(生産量と関係なく一定の費用)が発生する。そう考えると、製造段階よりもかなり上流で多額の固定費を投資していることになる。

 そして、時間をかけてさまざまな製品でこの固定費を回収し、もうけを得ている。言い換えれば、製造業は「固定費回収モデル」である。

■設計者は固定費を見よ

 では、変動費と固定費はどちらが「もうかる」のだろうか。購入品と保有設備ではどちらがもうけを生み出しているのか。下の図を見てほしい。

製造業がもうけを生み出すポイント

製造業がもうけを生み出すポイント

 基本的に、材料や部品といった購入品(変動費)はもうからないと考えた方がよいだろう。顧客から頂いたお金(売り上げ)を購入品の代金として外部に支払うので、ほとんど手元に残らないのだ。ただし、変動費にはリスクが小さいという側面もある。売れなかったら、買わなければいいからである。

 すなわち、もうけは「固定費からしか生まれない」と言っても過言ではない。設備/治具/技術をどれだけ有効活用し、使い倒せるかにかかっている。同じものを使えば使うほどもうけとなるのだ。ただし、固定費は製品が売れるかどうかにかかわらず、先行的に投資しなければならないのでリスクは大きい。

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