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モバイルで重要なのは「ウェブ」「アプリ」どっち?

VentureBeat

モバイルブラウザーのトラフィック量は実はアプリの2倍であると、米金融大手モルガン・スタンレーがリポートで発表した。同社はこのリポートで、米グーグルの株式を「買い推奨」に格付けしている。この指摘は、モバイル端末では(ウェブに比べて)アプリが優位に立ちつつあり、モバイル端末の利用時間の80~90%をアプリが占めているという最近何度も指摘されている状況に逆行しているようだ。

一見すると相反しているように見える2つの結果だが、実はどちらも正しい。

モルガン・スタンレーは米調査会社コムスコアのデータを活用し、ウェブが優位に立ちつつあると述べている。この調査結果は、良質なアプリ内広告が売り切れ状態になることで、モバイルでのユーザー獲得コストの高騰に見舞われている人にとっては朗報だ。新規顧客にたどり着く方法を模索し続けているブランドのマーケティング担当者にとっても吉報だろう。

だが、コムスコア自身が先週発表したリポートで、米国でのモバイル端末の利用時間のうちアプリの利用時間が87%を占めると明らかにしていることを併せて考えると、これは紛らわしいかもしれない。我々は10分のうちほぼ9分をアプリに費やしている上に、この数値は2013年以降で90%増えている。一方、ウェブの利用時間は同じ期間に53%しか増えていない。

このため、コムスコアはアプリが優位に立ちつつあると述べている。

これらは、もちろんどちらも正しい。

問題は専門用語の使い方と、それぞれの調査が厳密にはどこに焦点を当てているかの違いだ。モルガン・スタンレーの調査は「ユニークビジター」と呼ばれる実訪問者数に焦点を当てており、いささか紛らわしいことに、これを「トラフィック」と呼んでいる。一方、コムスコアのリポートではユーザーが実際に費やした時間に着目している。

 これらは大きく異なった測定単位のため、モバイルの現状についてかけ離れた結果が出ても衝撃ではない。モバイル端末ユーザーの多くは「サブウェイ・サーファーズ」や「ゲーム・オブ・ウォー」に大量の時間を使い、たった5つのお気に入りのアプリに利用時間の80%を費やしている。その一方で、チェックしている10~15社のウェブサイトも訪れ、しかも各サイトにはほんの少ししか滞在しないのかもしれない。これをユニークビジターと解釈すれば、ウェブではモバイルの「トラフィック」が増える一方で、アプリの利用時間も増えることになる。

結局、何が有力?

そうはいっても、疑問はますます膨らむ。なぜこうした状況が生じているのか。何が最善で、何が最も重要なのか。さらに、ブランドや企業、サービス提供側は何をすべきなのだろうか。

答えはしごく単純だ。最も長時間にわたって利用者が深く没頭するのはアプリなので、特に顧客とつながりたいブランドにとってはアプリが非常に重要となる。だが、我々の調査では、スマートフォン(スマホ)のユーザー1人がインストールしているアプリの数は平均50~60個と既に限界に達しており、(著名ブロガーの)ロバート・スコーブル氏以外に接触した企業やサービス、サイトのアプリを全てインストールする人などいない。

そのため、まずはモバイル向けのウェブで素晴らしく強力な体験を提供できなくてはならない。そうした全般の体験が素晴らしく、提供するサービスや価値が印象的でアプリのメリットも明らかにすることで、ウェブを気軽に訪れた人がいずれはモバイルアプリのユーザーに移ってくれるのが望ましい。

モルガン・スタンレーが認めるように、これは重要だ。米小売り上位30社のうち、訪問者の50%以上をアプリ経由で呼び込むことができるのはアマゾンとウォルマートの2社しかいない。

モルガン・スタンレーのリポート執筆陣も、アプリの利用者が増えることはよいことだと認めている。

リポートでは「これは2社にとって有益だ。アプリの閲覧者が多ければ、やがては長期的な顧客獲得コストが低下し、顧客基盤が厚みを増し、消費者の財布に占める割合が高まることにつながると確信しているからだ」と述べている。

この点について異論はない。(あなたの体から3フィート以上離れることはない)身近な端末上に誰もがうらやむ地位を手にすることは、ブランドにとっても企業にとっても価値がある。こうした顧客にもっと貢献できるチャンスを得るだけでなく、顧客やその習慣、ニーズをもっと理解できるようになるからだ。少なくとも、正しいことをしているかどうかを顧客から学べる。

モルガン・スタンレーのリポートについてもう一つ抗議したいのは、このリポートはウェブやモバイル空間全体ではなく、米国の上位50のモバイル向けサービスにしか触れていない点だ。このうち、アプリの訪問者がウェブを上回っているのは12しかなく、しかもその多くはグーグル(上位12のうちの4つを保有)やスナップチャット、ピンタレスト、ヤフー、ネットフリックス、そしてパンドラのようなIT(情報技術)企業だ。

 興味深いことに、モルガン・スタンレーは我々が実施した調査と同様に、ユーチューブではモバイルウェブよりもアプリの方がユニークビジターが多いことに気がついた。残りのプレーヤーに目を向けると、インスタグラムとスナップチャットのモバイルウェブのトラフィックは現状の通りで、スナップチャットの場合にはアプリのトラフィックの半分近くに及ぶ点は率直にいって衝撃だ。

ここでしっかり覚えておくべきことは、ITやメディア関連の企業、特にモバイルウェブからの訪問者が通常50%以上を占めている小売り・金融・保険・旅行業界では、なお自社のモバイルウェブ体験を意識しなくてはならない点だ。少なくとも、これは顧客との関係構築における最初の段階であり、企業のアプリをインストールするというかなり大きなステップに比べれば、見込み客による関与の度合いは大幅に小さい。

しかも、この最初の段階は訪問者を献身的なリピーターや顧客へと育成し始めるのに適した場所だ。

では、モルガン・スタンレーのリポートはなぜグーグル株を買い推奨と判断したのか。これはモバイルウェブが成長しつつあり、当面は重要な存在であり続けるというリポート執筆陣の確信から生じている。こうした状況ではグーグルに分があると考えているのだ。

ウェブは確かにグーグルの本業なため、こうした考えをある程度は理解できる。だが実際には、グーグルはモバイルアプリで大健闘している。しかも、ここ2~3年のフェイスブックでわかるように、インターネットの巨人がモバイルアプリに非常に円滑に転換した例は、グーグルがアプリよりもウェブの方に実際に多いと考えれば、同社が同じようなことができるという証しにもなっている。

結局のところ、検索エンジン最大手のグーグルには世界で最も人気が高く、決して規模も小さくないモバイル基本ソフト(OS)があるのだ。

By John Koetsier

(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)

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