2019年2月19日(火)

[FT]アイルランド、経済復調の兆し

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2015/9/28付
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アイルランドの政財界のエリートは今週、ダブリンからそう遠くない町のネース近郊にある未開発の地に集まり、国内企業による数年ぶりの大型投資施設の開設を祝う。

アイルランドの大手食品メーカー、ケリー・グループはそこで、1億ユーロを投じた原材料・香料事業のグローバル技術・イノベーションセンターをお披露目する。同社はこの分野で急成長を遂げ、世界最大手の一角にのし上がった。

ケリーの投資計画は、アイルランドがまだ同国史上最悪の不況にあえいでいた2012年に発表された。その4年前には、金融危機に伴い同国の投機的な不動産バブルが崩壊。アイルランドの銀行部門の大半が壊滅的打撃を受け、緊縮政策や企業のリストラが何年も続く事態に陥った。

だが、このプロジェクトの完了は今や状況が一変したことを示している。景気回復を背景に、自信を取り戻したアイルランドの企業部門が再浮上を果たしたのだ。企業活動は「ケルトの虎」と呼ばれた好況期以来の水準に達している。

■失業率、15%から9.5%へ低下

こうした新たな楽観的な姿勢は再び採用に乗り出した企業の数で鮮明となっている。失業率は最悪期の15%から9.5%に低下。国内企業と海外投資の双方がけん引するM&A(合併・買収)の回復にも反映されている。

こうした状況を受け、投資家は企業の業績や株価が改善する見通しを持っている。ユーロ安や企業が長期計画への関与を増やしていることも、こうした観測が強まる一因となっている。

キャバン州キングスコートの断熱材メーカー、キングスパンの経営者は「アイルランドのビジネス環境は数年前よりも大幅に改善した」と話す。「ムードは一変し、この国が再び持続可能な道に戻りつつあることを確信できるようになった」という。景況感の変化はもっと広く共有されている。アイルランドは昨年、ユーロ圏の加盟国で最も急成長を遂げた。今年の経済成長率は4~6%と予想されている。

だが、ほんの2~3カ月前には、景気回復ははっきりと実感できるほどではなかった。昨年末にインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)がエアリンガスの買収に乗り出した際には、アイルランド企業は外資系グループの標的であることが裏付けられたようだった。

だが、それは間違いだった。今年になってアイルランドの3大企業が海外で大型買収に打って出た。CRHは、セメント大手のスイス・ホルシムと仏ラファージュが合併の一環として売却した資産を65億ユーロで取得した。

アイルランドの企業は消費者がようやく景気好転に反応し始めたのを受け、今後の取引にも楽観的な見方を強めている。ダブリンの医療サービス、UDGヘルスケアのリアム・フィッツジェラルド最高経営責任者(CEO)は「消費者主導型の景気回復が進んでおり、状況はここ数年よりも良い」と話す。同社は先週、アイルランドの医薬品販売事業を米医薬品卸売り大手マッケソンに4億750万ユーロで売却した。

近くCEOを退任するフィッツジェラルド氏は、UDGは今回の純売却益2億7750万ユーロを「さらに戦略的なM&Aの追求」など野心的な成長計画を実現するために使う方針だと話す。

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