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[FT]多忙中年ビジネスマン狙う携帯ゲーム会社

日本のビデオゲーム業界は、いまや70億ドル規模に成長した携帯ゲーム市場の「もうかる層」に照準を移しつつある。仕事、結婚、子供などの事情で、家庭用ゲーム機で遊べない男たちだ。

かつて家庭用ゲーム機の熱狂的ファンだった、主に20代後半から45歳までのビジネスマンは、今やスマートフォン(スマホ)ゲームに月平均で6000円を支払っている。ビジネスマンたちは、日中の仕事の合間にゲームの時間を捻出し、日本を最も高い利益を生み出す携帯ゲーム市場という地位に押し上げる原動力になっている。

開幕した「東京ゲームショウ2015」。ゲーム各社はスマホ向けに攻勢をかける(17日、千葉市の幕張メッセ)=共同

日本のゲーム会社の経営陣は、そうした年齢層のゲーム人口やそこから生み出される価値は増え続けると予想している。2000年にソニーのプレイステーション2が発売された際、それを買って大切に使いながら熱中していった世代はすっかり中年の域に入り、次世代の新しいゲーム機に買い替えていない。

セガやバンダイナムコなど知名度の高いゲームメーカーによる携帯ゲーム市場の成長予測によると、そうした中年世代がかつて家庭用ゲーム機に費やしていた可処分所得は、より複雑で時間のかかるタイプのスマホゲーム内の課金という形で表れてきているという。

人気の携帯ゲーム「ブレイブフロンティア」を手掛けるゲーム会社、gumiの創設者の国光宏尚社長は、「20代後半から45歳までの年齢層は、旧世代の家庭用ゲーム機にどっぷりつかっていた世代だが、いまは家庭用ゲーム機で長い時間落ち着いて遊ぶ時間がない」と指摘する。「そうした年齢層の多くは、プレイステーション3や4に買い替えておらず、その代わりに携帯電話でゲームをしている」

また同氏は、ブレイブフロンティアが最も遊ばれるピーク時間が、朝夕の通勤時間と昼食の時間だという自社のデータを示す。米国や欧州でカジュアルゲームを楽しむ人々が、「アングリーバード」や「キャンディークラッシュ」など1回数分というゲームで遊ぶのとは異なり、家庭用ゲーム機で育った日本のゲーマーは、長く遊べる時間を確保するため日々のスケジュールを調整している。

年間86億ドル規模に拡大の可能性

年間70億ドルを超える日本の携帯ゲーム市場は、米国の56億ドル、西欧の32億ドルをしのぐ。ドイツ銀行は、日本の携帯ゲーム市場は16年末までに86億ドル規模に拡大し、その一方で、中国の規模は米国を追い越して76億ドルになると試算している。

ある程度年齢がいっていて、高い料金を支払うゲーマーに狙いを定める携帯ゲームは、国内最大のゲーム見本市「東京ゲームショウ2015」でさらなる存在感を見せるだろうと業界のアナリストは話す。携帯ゲームを使う人々から収益を得ることに日本が世界の首位を走っているのは明らかだ。

とはいえ海外のゲームメーカーも、料金を払わないとゲームを進められないような機会を最大限に作り出す日本の専門技術に対抗しようと技術習得に余念がない。

投資銀行CLSAのゲームアナリスト、ジェイ・デフィボー氏は、日本にはオンライン上のコンテンツへの料金支払いに抵抗が少ない消費者が多く、ゲーム会社はそうした市場にいることで恩恵を受けているという。

しかし、その恩恵を最大限利用し続けるという能力は、日本のゲーム会社に均等に振り分けられるわけではないだろう。デフィボー氏は「任天堂は携帯ゲーム会社として非常に力強い可能性を秘めた会社だが、ゼロからスタートしたというより、むしろマイナスからのスタートといってもいい」と指摘する。

「この数十年、ゲームの唯一の目的は、消費者に一回で完結できるゲーム体験を届けることだった。だが、それは、携帯向けアプリの開発と、サービスとしてのゲームの概念からかけ離れてしまっている」

By Leo Lewis

(2015年9月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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