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どうして外れた? プロ野球順位予想

プロ野球のペナントレースが大詰めだ。セ・リーグは最後までもつれそうな混戦が続き、パ・リーグはソフトバンクが圧倒的な強さで連覇を目前にしている。僕たち評論家は開幕前に順位予想を立てる。外したものも色々あるが、開き直っていえば、すべてが当たるわけではないから面白いのだ。何が外れたのかを検証、弁解しながら、ポストシーズンの展開を懲りずに予想してみたい。(記録は10日現在)

ヤクルト奮闘、阪神は試合巧者

まずはセ・リーグ。僕の予想は上から巨人、阪神、広島、ヤクルト、中日、DeNAだった。残り20試合を切った時点で阪神、ヤクルト、巨人が僅差でAクラスを形成し、やや差があって広島、DeNA、中日と続く。

4連覇を目指す巨人が地力で勝ると考えていたが、阿部慎之助、村田修一、長野久義といった主力の調子がシーズンを通して上がらなかった。長年ブルペンを支えてきた山口鉄也にもこれまでの安定感がなく、混戦を招く一因になった。それでも優勝を狙える位置にいるのだから、やはり地力はあるのだ。

ヤクルトは予想以上に奮闘している。打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリー達成が確実な山田哲人をはじめとする強力打線ばかりでなく、投手陣の踏ん張りが大きい。先発の駒不足から下位予想としたが、抑えのトニー・バーネットら3人の外国人を中心とした救援陣の存在がチームを支えている。

チーム打率、防御率ともリーグ5位なのに優勝争いを引っ張っているのが阪神だ。力強さは感じないが、安定感のある先発投手がそろっていて、セットアッパーの福原忍から抑えの呉昇桓へとつなぐ勝ちパターンが確立されている。前半は不振だったマートンも打率3割近くまで巻き返してきたし、福留孝介もいいところで打っている。試合巧者ということになるのだろう。

ブルペン陣の出来が成績を左右

球宴前まで首位だったDeNAは予想通り、落ちてきた。投打ともに1年間を乗り切る地力がまだ足りなかった。4番の筒香嘉智はめざましい成長を遂げ、ルーキーで抑えを任された山崎康晃も十分すぎる働きをした。良いチームになってきたが、リードして山崎につなぐという展開をつくるのに苦労した。

僕が最も見る機会の多い中日はエースの吉見一起が離脱し、課題の世代交代がうまく進まなかった。谷繁元信選手兼任監督は意識して若手を使うようにしていたが、選手の調子のピークと起用のタイミングがずれていることも多かった。それぞれの若手に求める役割、どういうチームをつくりたいのかというビジョンが曖昧だったのが残念だ。

前田健太、クリス・ジョンソン、黒田博樹ら先発投手陣が充実した広島はAクラスに入れると予想したが、救援が崩れたもったいない試合が多かった。こうしてみると、昨今の野球ではブルペン陣の出来がペナントレースを左右していることが改めて分かる。

パ・リーグは上からソフトバンク、オリックス、日本ハム、西武、楽天、ロッテと予想した。実際はソフトバンクの優勝、日本ハムの2位がほぼ確定し、西武とロッテがクライマックスシリーズ(CS)進出を争っている。

2位予想が大外れのオリックス

ソフトバンクの対抗馬とみたオリックスは大外れだった。トニ・ブランコ、中島裕之ら期待の新戦力やエースの金子千尋らが故障に泣き、開幕からつまずいた。あれだけ出遅れると故障者が復帰しても巻き返せない。やることなすことうまくいかず、僕がいたころの弱いオリックスに逆戻りしたような印象を受ける。

西武も肩透かしの感がある。あの強力打線ならもっと強くてもいいはずだ。岸孝之、菊池雄星という軸となる先発の出遅れや、抑えの高橋朋己が夏場に調子を落としたのが痛かった。ロッテがここまで健闘するのは意外だった。突出した選手がいない中、勝率5割前後を維持してのCS争いは評価できる。日本ハムは白村明弘、鍵谷陽平、有原航平といった若い速球派が期待通りに活躍した。楽天は組織内の不協和音も聞こえてきて、チームが壊れてしまった。

ソフトバンクの圧倒的な強さについてはコメントするのが難しい。トリプルスリーを確実にしている柳田悠岐を筆頭に、能力のある選手たちが額面通りに働いている。競馬でいえば、一度もムチを入れることなく断トツでレースを終えようとしている。ついでにいうとウエスタンリーグの投手防御率も岩崎翔らが上位4人を独占している。これだけ選手層が厚いと采配の妙もあったものではない。ペナントレースに興ざめしてしまう向きもあるだろうし、首脳陣は力が余って物足りなくないだろうかと余計な心配すらしたくなるほどだ。

日本シリーズ、面白いのは広島

近年、これほど強いチームは思い当たらない。僕の現役時代に遡ると、「こりゃなかなか勝てんなあ」と感じたのは1990年代前半の巨人だった。鉄板エースの斎藤雅樹さん、槙原寛己さん、桑田真澄さんの3本柱を中心とした強力投手陣。打線は現監督の原辰徳さんのほかに、ウォーレン・クロマティや篠塚和典さんたち好打者がそろい、実にバランスが取れていた。その後、各チームの4番打者を集めたような時期もあったが、90年代前半の巨人の方が強いと感じた。時代も違うから単純には比較できないが、今年のソフトバンクの充実ぶりは、当時の巨人や黄金期の西武など過去の強いチームと比較しても遜色ない。

ポストシーズンでソフトバンクを止めるチームは出るだろうか。日本ハムは切り札の大谷翔平をフル回転で使えれば面白いだろうが、CS第1ステージでも使わざるをえないから、簡単ではない。西武は爆発力のある打線の調子がピークで当たれば可能性はあるかもしれない。

セ・リーグの優勝の行方はまだみえないが、セ・パ交流戦でも最高勝率をマークしたソフトバンクが相手なら、どこが出てきても日本シリーズでは劣勢だろう。先発が踏ん張ってロースコアの展開に持ち込み、際どい試合を拾っていくしか勝機はない。CS進出さえ厳しい状況だが、純粋に先発の顔ぶれでみれば、案外面白いのは広島ではないかと思っている。

(野球評論家)

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