2019年1月20日(日)

幕下55枚目から3年ぶり三役に 大相撲・栃ノ心(上)

2015/9/12 6:30
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久しぶりに長い巡業から帰って、力士は9月場所(13日開幕、東京・両国国技館)に臨む。伝統の春日野部屋では1日に土俵開きが行われ、行司が祭司となり「あめつちひらけはじめてより陰陽わかり」と勝負の道理を言上する「方屋開口」の祝詞が上げられていた。

力士が神聖な土俵に秋場所への強い決意を誓う大事な行事だ。神妙な顔つきだった再小結の栃ノ心(27、ジョージア出身)も「巡業(20日間)長かったあ。名古屋場所が終わったと思っていたらもう始まるじゃない」と陽気に笑う。

今場所、5度目の小結となるが、初の

今場所、5度目の小結となるが、初の"東"の小結という自己最高位だ

最近にわかに相撲人気が沸騰してお相撲さんは忙しさに追われている。かつて夏巡業は1カ月が当たり前で仙台6日、札幌3日というのもあった。「それいいですね。仙台は牛タンがめっちゃおいしい。北海道も好き。涼しいし食べ物もおいしい。札幌は遊べるところもあるしね」と冗舌だ。

2回手術、つらいリハビリ乗り越え

2006年3月初土俵。黒海の東端のジョージア(旧グルジア)から入門、10年目を迎えた。巡業を楽しみ、ちゃんこの味も染みて力士生活で相撲への愛着、意欲はいまが一番だろう。

充実の理由がある。

13年名古屋場所、右膝に十字靱帯断裂、内側側副靱帯断裂という重傷を負った。3場所連続で全休し、西幕下55枚目まで陥落した。昨年春場所から土俵に復帰、怒とうの幕下連続2場所、十両連続2場所優勝という快挙でのし上がってきた。今場所、5度目の小結となるが、初の"東"の小結と自己最高位にランクされた。幕下55枚目からは、戦後、最も低い地位からの返り咲きとなった。

「2回手術した。病院のテレビで相撲を見ていて悔しかった。いつか土俵に戻れればと。よく戻って来ましたね。3年ぶりの小結です。今まで全部"西"だったからうれしい」

つらいリハビリを乗り越えての勲章だ。「四股、腰下ろしとか膝のトレーニングばかり。筋肉をつけるトレーニングはやり過ぎるとすぐ膝が腫れました」

休場中、やめようかと悩んだ。師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)に看破される。「まさかやめること考えているんじゃないだろうな。バカじゃないか。あと10年相撲を取らないとダメなんだよ」とすごい勢いでハッパをかけられた。

ダイエット、体作り直し160キロ台に

2カ月の入院で体重は177キロまで増えた。「19キロ増えてちょっとやばかった」。部屋に戻ると今度は「ちゃんこがおいしくてガンガン食べた」。180キロという数字が見えて九州場所でダイエットを決意する。

「毎日、キャベツの千切りとレタスとリンゴだけ。でかいボウルに入れて1カ月それしか食べなかった」。朝、四股やスクワットで汗をかき、午後はすぐ近くの海に行って砂浜を歩き回った。27キロ落ちて「縮んで小さくなった」。それを徐々に稽古をやりながら、現在の160キロ台にまで体を作り直したのだ。

「今回の巡業でちょっと食べ過ぎたかな」。直前までの猛稽古で絞り直す。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊9月7日掲載〕

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