2019年7月18日(木)

[FT]エジプト「怪物」ガス田で変わる地域の勢力図

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2015/9/7付
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経済を一変させる規模の油田やガス田を発見することはめったにない。だが先週、イタリア炭化水素公社(ENI)はそれをやってのけた。エジプト沖の海底に「超巨大なガス田」を発見し、世界最大級のガス田の可能性があると声高に宣言した。

「ゾフル」は怪物で、地中海で発見されたガス田としては最大だ。同ガス田は海底よりはるかに下の約1500メートルの深さにあるが、既存のインフラで到達可能な位置であるため、開発は比較的容易だ。ENIのクラウディオ・デスカルツィ最高経営責任者(CEO)は、同ガス田は30兆立方フィート以上の天然ガスを埋蔵しており、原油に換算すると55億バレルに相当すると話している。

実際、エジプトにとってのゾフルの重要性とはその「巨大さ」だとエネルギー分野のコンサルティング会社、英ウッドマッケンジーはみている。早ければ2017年にプロジェクトが稼働すると見込まれており、稼働後はエジプトのガス需要を最低10年は満たし、輸入の必要がなくなる。

この発見はエジプトを越えた他の場所、とりわけイスラエルにも衝撃をもたらした。イスラエルで最近発見され、もう影が薄くなってしまったリバイアサン・ガス田のガスをエジプトに輸出しようとエネルギー企業がもくろんでいた。

英国オックスフォード・エネルギー研究所のシニア・リサーチ・フェロー、パトリック・ヘザー氏は「これは非常に大きい。このガス田の発見でエジプトはエネルギー輸出国に返り咲き、地中海の他のすべてのガス田開発計画を狂わせるだろう」と話し、「欧州全体にとってこれは良いニュースに違いない」とも指摘した。「市場に流れるガスが増えるだろう。問題は、欧州がガスを必要としているかどうかだ」

■海外からの投資に弾み

先週の発見は、エジプトの(ガス田)探査の復興の証しだ。もし適切な管理の下で行われれば、これで国内需要が供給を上回る同国のエネルギー危機に終止符を打つことができるかもしれない。

発見が乏しかったこの10年を経て、国際的なエネルギーグループは今年、数十億ドルをエジプトに投資すると発表した。エジプト政府による債務返済や国内のエネルギー補助金削減の動きに促された形だ。ENIの成功で、西ナイルデルタ地域のプロジェクトに120億ドルを投資するBPの開発に拍車がかかるだろう。

国外からの投資は必須だ。同国経済は11年に起きた革命後の政治的混乱で打撃を受けたが、主に天然ガスの生産減少に起因するエネルギー不足でそれが一層悪化した。ピーク時の09年には1日当たり61億立方フィートあった生産量は14年に1日当たり47億立方フィートにまで落ち込んでいた。

その結果、エジプトは最近、液化天然ガス(LNG)の輸出国から純輸入国に転落した。セメント業者や肥料製造業者などのエネルギー不足の製造業者への供給は配給となり、量も削減されることが多くなっている。

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