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世界で飲まれ始めた日本の緑茶

編集委員 鈴木亮

最近すっかり見なくなった光景の一つが、急須で入れる日本茶だ。若い世代にとって、お茶はペットボトルで飲むもの。むしろコーヒーの方が身近な飲み物かもしれない。実際、日本国内での茶葉消費量は、右肩下がりだ。

抹茶ブームの仕掛け人、前田さん(左)

そんな日本茶が意外なところで脚光を浴びている。まずは米国。スターバックスがティーバナというお茶の販売店を買収し、煎茶や玉露などを提供している。今や全米で300店舗に達した。

米国で緑茶がブームなのは、健康にいいと思われているからだ。日本から米国への茶葉輸出額は2014年に78億円となり、2000年からの15年で6.5倍に増えている。中でも人気のあるのが抹茶で、抹茶アイスは米国で大ヒットしている。

この抹茶ブームの仕掛け人ともいえるのが、米国で日本茶関連商品の製造販売を手掛ける前田拓さんだ。前田さんはクールジャパン機構の出資を受け、今後10年以内に米国で50店舗、将来は世界で1000店舗の日本茶カフェを開く構想を持つ。

イスラム圏では緑茶の人気が高まっている(インドネシア)

アジアでも日本茶の人気が広がっている。アサヒ飲料はインドネシアで攻勢をかけている。イスラム教徒はラマダン期間中、日中は飲食を絶つ。夕刻、飲食が許されると、体をいたわるために、まず甘い物を口に入れる。アサヒはラマダン明け後の甘味補給を狙い、甘みのあるお茶のペットボトルを売り出した。品質が高く徐々にファンを増やしている。

タイでも日本のお茶は浸透している。飲むだけではなく、緑茶で炊いたチキンライスや緑茶カレー、緑茶のスパゲティカルボナーラなど、これまでにない日本茶を生かした創作料理も誕生している。

今後も日本茶は海外で需要が広がりそうだ。インドネシアと同様にイスラム教徒の多い中東は、酒を飲まないため、お茶への関心が高い。ロシアも紅茶が浸透しており、最近の健康ブームから日本茶人気が広がりつつある。今年4月には京都の老舗、福寿園がロシア国内に出店した。中国でも富裕層を中心に、高品質の日本茶へのニーズは高い。

伝統的な日本の商品が、国内で売れなくなっても嘆くことなかれ。本当にいいものなら、海外で新しいマーケットを発掘するのは、十分に可能だ。日本のお茶がそのことを教えてくれる。

 「私が見た『未来世紀ジパング』」はテレビ東京系列で毎週月曜夜10時から放送する「日経スペシャル 未来世紀ジパング~沸騰現場の経済学~」(http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/)と連動し、日本のこれからを左右する世界の動きを番組コメンテーターの目で伝えます。随時掲載します。筆者が登場する「世界本格お茶ブーム!陰の仕掛け人たち」は9月7日放送の予定です。

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