[FT]イラン、社会運動の容認に傾く NGO活発に

(1/2ページ)
2015/9/1付
保存
共有
印刷
その他

今から数カ月前、何百人もの動物愛好家がイラン政府の環境政策を担う部署の前に集まり、南部の都市シラーズの自治体職員による野良犬の殺処分に抗議した。殺処分の様子はビデオに撮られ、ソーシャルメディアを介して広まっていた。もっとも、要求を聞いてもらえると思っていた人はほとんどいなかった。

ところが、このデモの参加者は取り締まりを受けるどころか、外に出てきたイラン環境保護庁(IEPO)の幹部職員数人から話しかけられた。参加者の中には、「すべての動物に生きる価値あり」「私の国の犬を殺さないで」と書いたプラカードを掲げる人もいた。幹部職員は一通り話を聞くと、早速、都市部の野放しの犬の扱い方に関する通達を出した。

「飼い主がいない犬を、あんな乱暴なやり方で殺すのではなく、その数を予防接種などでコントロールしてほしいと当局に要望する平和的な抗議活動だった」。動物の権利を擁護する活動家で、このデモにも参加していたファリバ・マフムード・カライエさんはこう語る。「動物をやさしく扱うことを子供たちに教えたい。犬をあんなに簡単に殺せる人は人間も簡単に殺せると思うからだ」

過去には珍しかったこのようなアプローチが見られることは、非政府組織(NGO)や市民社会全般に対する体制側の態度が変わりつつあることを反映している。

改革派のモハマド・ハタミ大統領の政権は、民主主義強化の取り組みの一環としてNGOを奨励した。しかし、政治活動への関与を深めたことが裏目に出て、ハタミ氏を継いだ抑圧的なマフムード・アハマディネジャド大統領の時代には多くのNGOが消えていった。そして2年前に当選した穏健派のハサン・ロウハニ氏の政権下では、かつて政治の干渉に弱かったNGOがこれまでよりも厚い法的保護を享受している。

■NGO数、1年間で30%増加

イラン政府は今後数カ月以内に、NGOに関する新しい法案を議会に提出する。政府の意思決定におけるNGOの発言力を高めたり、登録に要する期間を現在の6カ月から1カ月に短縮したり、解散を今よりも難しくしたりするのがその狙いだ。

また、今年施行された別の法律では、環境保護や子供の権利に関する法律の違反についてNGOが訴えを起こすことが認められている。それ以前は、検事総長しか訴えることができなかった。

イラン政府による、以前よりもソフトなスタンスは、すでに違いを生み出している。イランで登録しているNGOの数はこの1年間で30%増加し、7000団体に達した。新しいNGOは、そのほとんどが健康、環境、起業などに的を絞っており、人権のような物議を醸すテーマは避けている。政府は、来年3月までに1万団体に増えるだろうと期待する。

市民の社会参加を拡大させることはロウハニ氏のためになる、と政府高官やアナリストたちは述べている。IEPOのムハンマド・ダルビッシュ教育・国民参加局長は「ロウハニ政権は、国民に信頼されて仲間だと思ってもらえる政権は(より)安定すると考えている」と言う。

  • 1
  • 2
  • 次へ

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]