2019年1月22日(火)

駆ける魂

フォローする

新監督のサッカー、積極吸収 柏・大谷秀和(上)

2015/9/5 6:30
保存
共有
印刷
その他

吉田達磨が監督に就くことで、今季の柏のサッカーが変質するのは春のキャンプ前から明らかだった。J1、J2通算で300試合以上を経て、ボランチとしてプレースタイルが固まっている主将の大谷秀和(30)が先進的なサッカーに順応できるだろうか、という危惧が周囲にあった。

時には20歳前後の選手にも教えを請う

時には20歳前後の選手にも教えを請う

それは杞憂(きゆう)に終わる。「達磨さんがアカデミー(育成組織)で指導しているときから、そのサッカーに非常に興味があった。30歳で迎えるシーズンに新しいものに触れて、自分はどう変わるのだろうという関心もあった」。大谷は「ボールとスペースを支配する」吉田のサッカーにかじりついた。

「変なプライドはいらない」

イメージしていたものとは多少、違ったという。吉田は「ポゼッション(ボール保持)」という言葉を使わず、予測をもとにしたポジショニングを重視する。フリーになる選手が100%できると思ったら、そのための位置取りをし、その作業を重ねる。結果的にパスを確実につなぐサッカーができあがる。その構築の仕方と、基盤になる理屈に大谷は引きつけられる。

中盤は3人で構成し、アンカーに茨田陽生か秋野央樹。大谷は1列前に上がった。「その分、縦に入れるチャレンジのパスを増やさなくてはいけない。通れば1点という状況をつくれる位置に立つことが大事」

まだ十分ではないが、勝負のパスは増えた。キックそのものの質を上げる練習に本気で取り組み、次のプレーに移行する速度を上げようという意思も感じられる。「タニはうまくなった」という声が周囲で聞こえる。それが「30歳にして」であるのが興味深い。

大谷は中学、高校と柏のアカデミーで育ったが、それは吉田らがいまの柏のスタイルを築く前の時代だった。だから、中学時代から吉田のサッカーを学んできた世代より理解度は劣ると認め、小林祐介、中川寛斗、中山雄太ら二十歳前後の選手に教えを請う。

「ああいうときはどういうポジションを取ったほうがいいんだ?」。普通ならプライドが邪魔をしてできない。だが、大谷は笑い飛ばす。「そんな変なプライドを持っていてもしょうがないでしょ」。この姿勢を保てない人間は人生において損失を被る。

吉田監督「大谷に救われた」

タイミングが合えばアカデミーの練習をのぞき、頭を整理する。「みんなが早く達磨さんがやりたいことを理解し、要求に応えられるようにしたほうがチームのためになるから」

その姿勢に吉田は感謝する。「ベテランの大谷や栗沢(僚一)、増嶋(竜也)が『これ、面白いじゃん』という感じで、春から率先して取り組んでくれたのがチームをつくるうえで大きかった。大谷に救われた」。第1ステージは14位に低迷したが、チームは揺れず、目指すサッカーを貫いた。それは間違いなく主将の振るまいと関連している。そしてまた、この振るまいこそが大谷自身を肉付けしてきたのだ。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊8月31日掲載〕

「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

駆ける魂をMyニュースでまとめ読み
フォローする

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

サッカーコラム

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップスポーツトップ

駆ける魂 一覧

フォローする
現地でチームの練習場所と時間を調べ、シューズとウエアに着替え先回り

 名刺には「海外サッカー道場破り 1勝15敗」と自己紹介している。元海外プロサッカー選手といっても華々しい戦歴があるわけではない。菊池康平(34)がプロとして契約したのはボリビアの州リーグのクラブ。し …続き (2017/6/18)

日本サッカー協会の夢先生として子どもたちに授業をする=JFA提供JFA提供

 2005年春、菊池康平は明大を卒業し、人材派遣会社パソナに入社した。学生時代の夢とは決別し、その情熱を会社員人生へ――。とはならなかった。
 社会人になっても、夏休みや年末の休みには、ブルネイ、ベトナ …続き (2017/6/18)

鳥栖からの移籍1年目、人生2度目の転機といえる充実の日々を送る

 「今年は改めてキーパーというポジションの奥深さを感じている」。J1のFC東京でゴールを守る林彰洋(30)は楽しげに語る。鳥栖から移籍して1年目の今季、既にチームになくてはならない存在になっている。
  …続き (2017/6/11)

ハイライト・スポーツ

[PR]