広島・菊池、研究心と反復練習が生むプロの美技
スポーツライター 浜田昭八

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2015/8/30 6:30
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今昔プロ野球の二塁手には「名人」と呼ぶのがふさわしい選手が何人かいる。OBでは中日・高木守道、阪神・鎌田実、西武・辻発彦ら。現役では楽天・藤田一也がうまいが、広島・菊池涼介もこれら名人にヒケをとらない好守の二塁手だ。

好守の源泉は「カン」だけにあらず

守備範囲が非常に広い。深く守り、優れた脚力にものをいわせて外野へ抜けそうなゴロに追いつく。肩が強く、崩れた姿勢からでも鮮やかな送球をみせる。左右どちらのゴロにもうまく対応するが、一、二塁間の当たりにとりわけ強い。その好守で、試合ごとに相手の安打を1、2本は必ず摘み取っている。

入団2年目の2013年に二塁の定位置を獲得し、同年と14年に2年連続で守備のベストナインに与えられるゴールデングラブ賞を受賞した。今季の受賞も確実視されており、セ・リーグの二塁手部門では、しばらく他を寄せ付けないだろう。

好守の源泉は「カン」だと、本人はさりげなく言う。打球が飛んできそうなところへ、反射的に体が動くのはカンがさえているからだというのだ。だが、カンだけで守れるわけではない。

周到な準備がある。相手打者の打球の飛ぶ方向はもちろん、早いカウントから打つタイプか、ヤマを張る傾向があるのか。味方の投手の左右によって打ち方を変える打者がいるし、狙う球種も状況によって違う。それらのデータをしっかりと頭に入れて守らねばならない。

ゴロ処理は最初の第一歩が大切だ。投球のスピードと変化、打者のスイングの速度と角度を瞬時に計算してスタートを切らねばならない。菊池はそれよりひとつ進んで、バットがボールに当たる前に打球の方向へ一歩、体を寄せている。持って生まれたカンのよさが称賛されるが、菊池をレギュラーに抜てきした前監督の野村謙二郎さんは、菊池の研究心と飽くことのない反復練習が「プロの美技」を生んでいると言った。

守りとバントが開いた正二塁手への道

中京学院大では打守走3拍子そろった遊撃手だった。スカウトの間でもその好守は注目されていた。だが、11年秋のドラフトでは、同じ遊撃手でも安達了一(東芝―オリックス)や鈴木大地(東洋大―ロッテ)の評判が菊池を上回っていた。それでも広島は菊池の守備と快足を高く評価し、投手野村祐輔に次いで2位指名で獲得した。

入団1年目の12年は内野の控えで二、三塁、遊撃を守った。どこをやらせてもうまかったが、機動攻撃が多い最近の野球では、二塁手の守備力が試合展開で大きなウエートを占める。攻撃では菊池のうまいバントが重宝がられた。守りとバントがレギュラーへの道を開いたといえる。

3年目の昨季は2番二塁でフル出場、打撃でもブレークした。阪神・マートン、ヤクルト・山田哲人と首位打者を争い、打率3割2分5厘で打撃30傑の2位を占めた。2番菊池、3番丸佳浩の「キクマル」コンビは、躍進広島を象徴する存在として、人気もうなぎ登りだった。

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