勃興「不動産テック」 査定も審査もネットで完結

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2015/9/25 6:30
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本来はこの範囲内で金額を設定できることに目を付けた。「物件の価格によらず、仲介業務の手間はほとんど変わらない」(吉田社長)ためだ。およそ1460万円以上の物件ならば、マンションマーケットの方が、手数料が安くなるケースが多いと胸を張る(図3)。

図3 マンションマーケットの仲介手数料(同社サイトより引用)

図3 マンションマーケットの仲介手数料(同社サイトより引用)

■仲介手数料の価格破壊

ノマドの売りは仲介手数料を無料にして、必要な期間だけ月額契約する形をとる。料金は月額800円(税別)で、物件を見学すると1回あたり600円がかかる。一般的な不動産賃貸仲介では、物件の家賃の1カ月分を仲介手数料として支払うケースが多い。利用者の平均利用期間は2.8カ月で、大半が2000円前後の出費で済む点が評判を呼んでいる。

ノマドのサービスは元々、同業ベンチャーのアセンシャスが立ち上げたもので、ノマドは事業を譲り受けた。月額制のアイデアの原点は、既存の不動産会社の無駄をそぎ落とすことにあったという。

アセンシャスの創業者で不動産会社出身の鈴木直樹氏は、ノマド事業を立ち上げた当時を次のように振り返る。「情報が不動産会社にしかなかった時代は、仲介手数料というビジネスモデルは理にかなっていたし、不動産会社の車で物件まで案内してもらうことにも価値があった。しかし今はスマホ時代。無駄なコストを削り、利用料金と広告で十分事業をまかなえるはずと考えた」。

■人工知能も活用、付加価値を創出

単に低コスト化だけではなく、ITを活用して従来にはなかった付加価値の創出にも両社は余念が無い。マンションマーケットは「マンションスコア」と呼ぶ、独自に算出した相場情報のデータベースを開発。利用者が自宅マンションの階数や広さ、方位などを入力すると、売却価格を試算してくれる。現在は東京23区、1万3000棟のマンションを対象に同スコアを算出できる。今後はほかのエリアも対象に加える方針だ。

ノマドは2015年内にも、人工知能を使って自動的にお薦めの賃貸物件をレコメンドするサービスを始める。利用者の属性や過去の閲覧履歴、成約実績といったデータを基に、不動産業者の判断基準や経験則を自動化するという。

フィンテックやアドテックを支えるのは、実は金融機関や広告会社で働いた経験があり内情をよく知る人物たち。ITにも詳しい若手社員が続々と起業して、それぞれの業界で旋風を巻き起こしている。

マンションマーケットの吉田社長も、実はリクルート(現リクルート住まいカンパニー)の不動産情報サービス「SUUMO(スーモ)」で企画営業を務めた経験がある。先駆者たちの挑戦に刺激を受けた同業者が相次ぐならば、不動産業界の姿が今後激変する可能性がある。

(日経コンピュータ 玉置亮太)

[ITpro 2015年8月19日付の記事を再構成]

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