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[FT]原油価格下落でサウジ通貨に投資家の視線

原油価格の下落に苦しむサウジアラビアが外貨準備の切り崩しや債権の発行を通じて膨らむ財政赤字を賄おうとしていることから、サウジリヤルへの下振れ圧力が増しており、投機の機運が高まっている。

中国経済の減速が引き金となって原油価格は安値を更新しており、サウジアラビアがいずれ通貨を切り下げるとの観測が広がり、トレーダーらが他の新興市場とともに同国も投資対象に含めている。

「ドルペッグ制を堅持」サウジ高官

為替市場でのサウジリヤルの相場は弱含みで、25日の1年物の先物価格は3.779サウジリヤルと、12カ月間で1%切り下げたのと同じ水準になっている。サウジリヤルは現在1ドル3.75サウジリヤルで米ドルと連動(ペッグ)している。

同国通貨に対する信頼を高めようと、サウジアラビア通貨庁(SAMA)高官は「サウジリヤルを米ドルに連動するドルペッグ制を堅持する」と述べた。

世界的な株式市場の混乱が原油需要を見通しづらくするなか、24日のブレント原油価格は1バレル43ドルを下回り、変動相場制を採用する他の産油国の通貨も下落した。25日にはブレント原油価格は反発し、2%高い43.50ドルだった。

トレーダーやヘッジファンドマネジャーは、原油安の圧力によって、サウジアラビアの原油の取引通貨である米ドルとのペッグ制を堅持する姿勢が弱まっているとみている。

HSBCの中東担当のチーフエコノミストであるサイモン・ウィリアムズ氏は、「他の商品通貨にも下振れ圧力がかかっており、原油価格は回復に向かうのではなくさらに下落しそうな状況だ」と語る。

サウジアラビアの外貨準備は6600億ドルで、債務水準が低いことも手伝って、リヤルの現物相場を投機筋から守るための材料は豊富だ。

1990年代後半に、サウジアラビアは国内総生産とほぼ同じ水準の債務を抱えていたにもかかわらず、中央銀行は投機的取引からサウジリヤルを守るために多額の資金を投じた。サウジ政府は最近、国内銀行に対する270億ドルの借り入れ計画を始動したが、今のところ債務は総じて極めて低水準だ。

アブダビ商業銀行のチーフエコノミスト、モニカ・マリク氏は、「原油価格が1バレル40ドル台になるかという懸念はあるが、サウジアラビアの債務は少なく、外貨準備も健全であることから、過去の原油安の時と比べてかなり良い状況にある」と指摘する。

サウジ政府は、継続的な原油安で難しい選択を迫られているが、経済学者らは、同政府が最大の苦悩を味わうのは国の支出が減る来年だろうと予測する。

株価は8月に4分の1下落し、過去2年ほどで最低の水準となった。格付け大手のフィッチ・レーティングスは先週、サウジアラビア通貨建ての格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。

By Simeon Kerr

(2015年8月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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