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[FT]暗黒の月曜日、選択迫られる中国(社説)

中国当局がもはやこの大殺りくの阻止も否定もしなくなったことは、中国株式市場の調整の過酷な状況を物語っている。株式ブローカーの取引画面には消し去りたいと願うには多すぎるほどの赤字が並んでいる。

公式に「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」と名付けられた今回の8.5%の株価下落で、株価は8月11日の人民元切り下げ以降約5分の1値下がりしたことになる。最近まで急速に値を上げていた株式の購入を国民に促していた国にとっては心配なことに、市場は現在1月1日の水準を下回っている。

それだけではなく、先進国が中国の為替の混乱に無関心でいられた日々も過ぎ去った。下落は世界中に飛び火し、その影響は株価や既に火の粉を浴びていた商品価格にも及んでいる。ロンドンのFTSE100種総合株価指数は4.7%下落し、多くの欧州の株式市場でも同様の下落が起きた。ダウ平均株価指数は寄り付きから急落したが、その後反発した。

この混乱に対する中国の当初の対応には感心しない。市場を巻き戻そうと、株価維持作戦で2000億ドルを投入し、売りを制限して、不要な株式を急いで購入するよう年金基金に指示した。だが症状の緩和をあきらめた現在、同国はより確実な方法で背後にある不快感の除去に取り組まなければならない。

賢明ではない投資主導型モデル

中国経済は課題が山積みだ。投資の急激な減速は、内需主導の経済へと再調整する長期計画の道の半ばで起きている。できることなら来た道を戻りたいという誘惑に駆られるだろうが、残念なことに中国指導部にとってそれは不可能だ。

輸出はもはや同国の救世主にはなり得ない。世界経済の約15%を占める中国経済は大きすぎて貿易で繁栄には至らない。また、金融危機以降経済をけん引した投資主導型モデルに戻すのも賢明ではないだろう。あれだけ多額の資本を投資すれば、その成長は非効率で、急停止せざるを得なくなることも多い。

中国には対策の余地があることも事実だ。同国はひどく困窮した債務国ではない。むしろ清算する債権者の立場にある。それでも、投資家は同国市場の窮状が広い範囲での需要減退の表れであるというサインがないかを注視するだろう。

中国政府は慌てるべきではないが、消費の拡大が必要であると判明したなら、その方法を必死で考えなければならない。また、そうして得た結論は、不本意であっても公にすべきだ。市場経済に共通の金融政策や財政政策がないことを考慮すると、市場や他の国々は計画が存在していることを確信する必要がある。

市場変動がもたらす恩恵も

中国だけが厳しい選択を迫られているわけではない。米連邦準備理事会(FRB)も同じ状況だ。市場の下落は、FRBが利上げの判断に向けて準備をしているときに起こったが、利上げは来月に行われるというのが大方の予測だった。FRBは資産価格を対象にすべきではないが、市場の激しい変動が利上げ先送り派の立場を強めている。

中国の再調整と世界的な超低金利からの脱却は常に繊細な取り組みになると言われていたが、実際にそうなりつつある。そうした全面的な調整を行う際には不安になるものだが、実体経済への影響がない限り、さらなる市場変動がもたらす恩恵もある。

これは、投資はリスクを伴うもので、人々の資産を守るのは中央銀行の仕事ではないということを再認識させるものだ。先進国は最近忘れてしまっているかもしれないが、中国の国民が学びつつあるように、これも正常なことなのだ。

(2015年8月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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