2019年2月20日(水)

外国人初、JRAの騎手免許合格 M・デムーロ(上)

2015/8/29 6:30
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5月31日の第82回日本ダービー。晴れ渡る空の下、東京競馬場の馬場の真ん中を切り裂くように、ドゥラメンテが鋭く伸びてきた。ほかの17頭を引き連れて先頭でゴール。「ダービーを勝てて夢みたい。初めて乗った時、この馬は強いとすぐにわかった」。騎手のミルコ・デムーロ(36)は涙をにじませながら喜び、パートナーを褒めたたえた。

デムーロは3月からJRA所属として通年騎乗。他騎手より2カ月遅れのスタートながら年間最多勝ランクで7位につける

デムーロは3月からJRA所属として通年騎乗。他騎手より2カ月遅れのスタートながら年間最多勝ランクで7位につける

「絶好調、気持ちに張り」で重賞6勝

イタリア出身のデムーロは外国人で初めて日本中央競馬会(JRA)の騎手免許試験に合格し、3月1日からJRA所属として通年騎乗を始めた。以降、8月23日までに64勝。ほかの騎手より2カ月遅れのスタートながら、年間最多勝ランキングで7位につける。勝ち星の数だけでなく、中身も濃い。ドゥラメンテとのコンビで4月の皐月賞を勝ち、移籍後初のG1制覇。ダービーと皐月賞の2つのG1を含め、重賞ですでに6勝。岩田康誠、川田将雅に次いで3番目に多い。

これだけの成績を残しているのも、技術があるからこそだ。特に、ほかの騎手と比べると、追ってからの末脚の伸びが違う。JRA騎手としてのデビュー初日に、ダイワマッジョーレで勝った阪急杯(G3)もまさにそうだった。後方の馬群の外側を追走。第4コーナーから追うと、ぐんと伸びて差し切った。同馬を管理する矢作芳人調教師は「彼が乗ると馬が(よく)動いてくれる」と絶賛した。

「絶好調。体調もいい。JRAの騎手にもなれたし、いい馬にたくさん乗せてもらえている。だから気持ちにも張りがある」と、デムーロはここまでのシーズンを振り返る。

ダービーで涙、「勝ててホッとした」

以前から短期免許(海外で実績を上げた騎手が期間限定で騎乗できる仕組み)で来日を重ね、日本の生活にもすぐになじんだ。「日本は世界で一番。みんな優しいし、ファンも温かい。食べ物もおいしい」。マナーの良さ、時間に正確な交通機関もお気に入りだ。競馬場や調教場では、調教師や報道陣と日本語でやりとりをする。インタビューではいつも笑顔。陽気で気さくな人柄も、日本に溶けこむ武器となっている。

短期免許で騎乗していたときから活躍していたデムーロは、日本のファンにもすでにおなじみ。G1もJRA移籍前に10勝。2003年にはネオユニヴァースで日本ダービーも勝った。

ダービー優勝を経験していたとはいえ、デムーロは「今年の方がプレッシャーが大きかった」と打ち明ける。「(03年当時は)短期免許だったから、直前に日本に来てすぐレース。でも、今回は皐月賞の後からずっとドゥラメンテの話を聞かれた。勝ててホッとした」。いつもは明るいデムーロが今回、涙を流したのは、こうした重みのある勝利だったからだろう。

残念ながらドゥラメンテは放牧先で骨折が判明。復帰は来春まで待たなくてはならない。だが、秋のG1シーズンもデムーロには多くの有力馬が集まりそうだ。その手綱さばきからは目が離せない。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊8月24日掲載〕

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