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夏の出費60万円 米高校球児、プロへの道は遠征試合
スポーツライター 丹羽政善

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2015/8/24 6:30
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友人の息子が9月から高校の最終学年(シニア)になる。その子が来年6月の大リーグドラフトで指名されるか、大学の奨学金をもらえるかどうかは、この夏にかかっている。大リーグのスカウトや、大学のリクルーターの目に留まるかどうか。選抜チームに入っている彼は毎日のようにバスに揺られ、遠征に出かける。

高校の部活動とは別物の選抜チーム

そんな夢を追う息子を家族も全面的に応援したいところだが、現実には、経済的な負担が重くのしかかる。遠征にかかる費用はすべて実費。友人は、「この夏だけで、5000ドル(約61万円)はかかるだろう」と話した。

日本の高校野球と比較すれば、何故そんなに?と首をかしげたくなるが、決してそれが特別というわけではない。プロから指名されたり、奨学金をもらって大学へ進学したりするような才能を持った子を持つ親は、似たような出費を迫られる。紛れもなくそれは、米国の高校野球の一面だ。

そこへ至るまでの過程――簡単に米国の高校野球事情を説明すると、まず、そうした選抜チームは、高校の部活とは全く違うものであることを理解しなくてはならない。

もちろん、各高校には野球部がある。ただ、そこで野球をやっているだけでは、埋もれてしまう。高校の野球部の頂点は州大会ということになるが、所詮、ローカル大会だ。

州によっては、他州の優勝校と対戦するケースもあり、メッツのカーティス・グランダーソンによれば、彼の出身でもあるイリノイ州は、州大会で優勝すると「インディアナ州、オハイオ州、ケンタッキー州といった近隣の州のチャンピオンと戦って、ナンバーワンを決める」とのこと。

一方で、フロリダ州は広いため、「北と南に分けて州大会を行った」とフロリダ州出身のマイク・ズニーノ(マリナーズ)は振り返った。

全米から選手が集う「ショーケース」

いずれも、それなりに大きな大会に映るものの、そうした高校の野球部で臨む州大会の意味はというと、「誰も気にしていない」と、カリフォルニア州出身のクリスチャン・イエリッチ(マーリンズ)は苦笑した。「州大会なんて、たいした目標じゃない」

では、高校時代の彼にとっての目標はなんだったのか?と聞くと、「10月にジュピター(フロリダ州)で行われる『ショーケース』というイベントに出ることが最大の目標だった」と話している。ショーケースは様々な形で開催されているが、イエリッチが口にしたイベントはショーケースの中でも三大イベントの一つで、高校の部活とは全く関係なく、全米から選抜された高校生が集う。

プロのスカウトや大学のリクルーターがこぞって足を運ぶため、スカウトらの前で、自分をアピールするチャンスだ。そもそも、そのためのイベントである。トーナメントを行うわけではない。ただ試合をする。そこでスキルを披露する。ドラフトされたい、大学へ奨学金で進学したい、と考える高校生にとっては登竜門といったところか。

もっとも、イエリッチは「選ばれなかった」そう。それでも2010年のドラフト1位(全体の23番目)で選ばれたのは、選抜チームなどでの実績があったからか。

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