2018年9月23日(日)

「後ろ倒し」の旗は降ろすな 提唱者の槍田氏に聞く

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2015/8/20 6:30
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 今年から企業の選考活動の解禁が、例年の4月から8月に「後ろ倒し」になった。学生が前のめりになって学業をおろそかにしないように――。こうした思いで当初から後ろ倒しを提唱し、旗振り役を務めてきたのが前三井物産会長で国際大学理事長の槍田松瑩氏だ。現状をどう見ているのか、就活探偵団のインタビューに応じてくれた。

■本社1階の学生を見て驚いた

――そもそも槍田さんはなぜ、「後ろ倒し」を提唱し始めたのですか。

槍田松瑩(うつだ・しょうえい) 1943年2月生まれ。 東大工卒。2002年、社員が逮捕された不正入札事件により前経営陣が引責辞任した後を受ける形で三井物産社長に就任。経団連の副会長、日本貿易会の会長も務めた。2012年、日経電子版の経営者ブログの中で、学生が学業に専念できるよう、長期化した就職活動の改革を提唱した。現在は三井物産の顧問として在籍し、今年6月には国際大学の理事長にも就任した。

槍田松瑩(うつだ・しょうえい) 1943年2月生まれ。 東大工卒。2002年、社員が逮捕された不正入札事件により前経営陣が引責辞任した後を受ける形で三井物産社長に就任。経団連の副会長、日本貿易会の会長も務めた。2012年、日経電子版の経営者ブログの中で、学生が学業に専念できるよう、長期化した就職活動の改革を提唱した。現在は三井物産の顧問として在籍し、今年6月には国際大学の理事長にも就任した。

 「2012年の秋頃でしたか。東京・大手町の本社(三井物産)から昼食をとりに下の階に降りていったら、なんだか学生のような人が背広を着て、いっぱい玄関に居るわけですよ。『なんだこれは』と秘書に聞くと、『これは就職活動で、先輩の話とかを聞きにきたりしているわけですよ』と。『何年生だ?』と聞くと、3年生だというんです」

――それで、声をあげた。

 「当時私は、三井物産の会長で、日本貿易会の会長もやっていたので、周囲の人間にも聞いてみたら、『変だよね』という人も多かった。だから、僕が『こんなに早く就活を始めなきゃいけないのはおかしくはないですか』と言ったら、経済界の友達も『皆で声を上げましょう』と言ってくれたのがきっかけです。それまでは学生たちがそれほどまでに早く就活を始めているとは、うかつにして知らなかったわけです」

 「私どものころは、就活といっても4年生の暮れぐらいからでしたし、もっと遅らせて、いっそのこと通年採用にしてもいいじゃないかという思いがありました。でもとりあえずは、めだかの学校みたいに一斉に入るというタイミングを遅らせれば少しは落ち着くのかな、と思って『8月以降くらいに』とお話ししました」

――今回の「後ろ倒し」には賛否両論があります。

 「遅らせたことによって、学生が迷惑してる、企業も大変になってるとメディアはかき立てますが、なんとまあ、レベルの低い国なんだろうと思っています。学生に同調的なことを書いているけれど、本当に学生さんのことを思っていないでしょう。本当に学生が大変なのは、そういうところに追い込まれて、おちついて勉強できないことなんですよ。もっと本質的にそういう環境を作ってしまっていることが問題なんですね。捉え方の目線が低すぎると僕は思っています」

■いっそ10月まで後ろ倒しも

 「学生時代に勉強するというのは本来の目的であって、やるべき時にやるべきことをきちっとやっておく、そういう姿勢から、しっかりと物を考えられる人間が形成されていくのだと思います。周りに踊らされて先走って、足元がおぼつかない生活態度を学生時代から身につけてしまうのは、学生にとっても大変に気の毒なことだと思いますよ」

――「後ろ倒し」は来年も継続させるべきでしょうか。

 「経団連として決めたことですから、後ろ倒しを通じて目指したものは、きちっと目指すべきだと思います。次は10月まで遅らせよう、とかね。そちらの方向に流れをもっていくべきであって、ひ弱になって元にもどすというようなことになっては困ります。新聞によると、経団連の中でも、『必要なら見直しを』という意見があるそうですが、そんなことではダメだと思います。若者にはしっかり勉強してもらおうと思うなら、ここで踏ん張らないと」

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