/

日本版スウォッチになれるか 時計VBノットの挑戦

「若者は腕時計を買わない」「腕時計の本体とベルトはセット売り」「1万~2万円台の腕時計はもうからない」――。こうした時計業界の常識を疑い、ファッションに敏感な若者らの注目を集めている新興ブランドがある。Knot(ノット)が製造・販売する「Maker's Watch Knot」だ。腕時計という成熟市場に挑むベンチャー企業の挑戦をビデオカメラとともに追った。

「住みたい街」で常に上位に位置する東京・吉祥寺。人気のショッピングエリアから少し離れた住宅街の中にKnotの直営店はある。2015年3月にオープン。好立地とは言いがたいが、週末ともなれば1日200人程度が訪れる。腕時計の本体とベルトの別売りがKnotの「売り」。お客は自由に商品を手にとって本体とベルトのコーディネートを楽しめる。ベルトの着脱は簡単だ。記者が取材に訪れた際も、若者たちが本体とベルトをとっかえひっかえして、腕時計選びを楽しんでいた。

Knotの遠藤弘満代表は米「ルミノックス」、デンマーク「スカーゲン」といった海外ブランド腕時計を日本でヒットさせた仕掛け人として時計業界では知られていた。「Made in Japan」の腕時計に対する消費者の信頼は国内外で高いが「日本製は高額化し、皆の手が届く商品は非常に少なくなった」と遠藤代表。ファッション性に優れた日本製の腕時計を手ごろな価格で提供すれば、腕時計を普段は身につけない若者や、アジアを中心とした海外市場で受け入れられると考えた。

大手メーカーが国内生産を縮小するなか、遠藤代表は国内の協力工場の確保に走った。時計の品質を大きく左右する駆動装置には大手時計メーカーが作る日本製を採用、組み立てと検品は国内で実施する。シルクの組みひもやハンドクラフトの天然革などを使用したこだわりのベルトもそろえる。

自社のインターネット通販で14年10月から販売を始めた。カジュアル衣料店「ユニクロ」と同じ製造小売り(SPA)方式を採ることで、流通コストなどを抑えた。マーケティング面ではクラウドファンディングを実施し、ネット上の話題作りに努めたという。

本体とベルトを合わせた価格はおおむね2万円。この価格帯の大手メーカー品は量販店で3~4割引きは当たり前。「うまみの少ない商品」とみられているだけに、Knotの好調ぶりは業界関係者にとっては驚きだろう。

Knotは月間生産本数を7月、3000本から5000本に引き上げた。8月には大阪市内にも出店、近く台湾に進出する。順風満帆に見えるKnotだが「すでに生産能力に限界が見えている」(遠藤代表)。1980年代に登場した「スウォッチ」は手ごろな価格とファッション性の高さを武器に、瞬く間に時計王国スイスを代表するブランドへと成長した。Knotは課題を乗り越え、大きな果実を手にできるか。挑戦は始まったばかりだ。

(西山貴章)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン