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「都立の星」の甲子園 国立高・元ナインに聞く(中)

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2015/8/4 6:30
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捕手・川幡氏「頭脳野球でなく泥臭く。勝たねばの気負いなし」

国立高が甲子園に出場した時の捕手、川幡卓也さん。現在は電通新聞局専任局次長

国立高が甲子園に出場した時の捕手、川幡卓也さん。現在は電通新聞局専任局次長

都立国立高校のエース・市川武史さんの女房役だった捕手の川幡卓也・電通新聞局専任局次長(52)は甲子園でも都大会同様、攻めの気持ちで臨んだ。市川さんは「すべて川幡の組み立て通りに投げていた」と話し、当時の2人の息はぴったり合っていた。そして35年たったいまも気の合う関係は変わらない。それぞれ野球チームに所属し、市川さんはマラソンにも挑戦。川幡さんは週末に10キロ走ることを習慣としているそうだ。

――対戦したことのない高校との試合で、相手校のデータがないなか、どのようにリードしていましたか。

「相手の打者の体格や振り、構えをもとに、いくつかの打ち取るパターンを持っていた。打者も一巡すれば特徴もわかる。1球目にインコースを投げて最後はカーブという具合に。監督も歴代、捕手に任せてくれていた」

「ただ、サインを出しても投げるのは投手。武史がサイン通りに投げたことが大事だ」

――市川さんのピッチングにはどのような特徴がありましたか。

「コントロール抜群。カーブの切れもいい。当時の武史は超勝ち気な性格だった。印象的だったのは甲子園での箕島戦。予選で打たれたことのなかった(打者の手元で小さく変化する)ムービング・ファスト・ボールで本塁打を打たれたことはショックだった。普通は同じ打者に同じ球をもう投げないものだが、お互いあうんの呼吸で次の打席も同じ球を投げた。結局、ヒットを打たれたけどね」

箕島戦、先制すればどうなっていたか

――箕島は強かったですか。

「予選の上位校と比べて極端に実力が違うとは思わなかった。本塁打を打たれたとき以外は押されていたという印象はない。四回まで互いに無得点だったし、予選でも決まったことのないトリックプレーも決まり『勝っちゃうんじゃないの』ともマジで思っていた」

川幡さんのサイン通り市川さんが投げる。2人の息はぴったり合っていた

川幡さんのサイン通り市川さんが投げる。2人の息はぴったり合っていた

「予選の準々決勝以降は勝つ要素と負ける要素のどちらが出るか、という違いだったと思う。予選では勝つ要素のほうがまさっていたが、甲子園では負ける要素が出てしまった。全く歯が立たない相手ではなかった。先制点を取っていれば、試合はわからなかったと思う」

「予選でも都立ということで油断していただろう相手校に対し先制点を取ることで心理的なプレッシャーを与え、あとはどんどんストライクをとって的を絞らせない手法をとった。三回に先制の2点を取った準決勝の堀越はまさにこの術中にはまった感じだった」

――国立が進学校だったこともあり「頭脳野球」といわれていました。

「特別なことはやっていない。ただ、勝ち進むうちに『頭脳野球』と呼ばれるようになって、対戦相手も『すごく頭を使っているのではないか』と思ってくれたようだ(笑)」

「むしろ泥臭い野球だった。奇をてらわず絶対に失敗しない野球。バントの失敗や守備のエラーも少なかった。投手は別だが基本的に国立の打者は打てないという前提。私は5番打者だったが予選ではサインが出ることを想定してチャンスでもバットを振らず(バントで三塁走者を得点させる)スクイズを3回くらいした」

――西東京大会に出場した107校の頂点になった理由は、そういった手堅さでしょうか。

「相手が6点取ったら7点を取り返す、なんていう野球は無理だった以上、やはり武史が相手打線を抑えてくれていたことが大きい」

「当時、無欲の勝利といわれたが、『勝たなくては』とか『頑張らなくては』と思えば思うほど緊張が過度になる。僕らは『負けよう』とは思っていないけど、『絶対に勝たなくてはいけない』といった気負いがなかったのがよかったのかもしれない」

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