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日々実践 メンタル向上術 五輪V目的に誕生 米国メンタルトレーニング事情
東海大学体育学部教授 高妻容一

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2015/8/7付
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現在、研究センターと食事などができるレストエリアも建設中でした。寮は普段は2人部屋らしいのですが、夏のショートセッションが始まると4人部屋になり、1000人ほどの選手が入居するそうです。小中高レベルでこれだけの施設と英才教育のシステムは、世界では類をみないそうです。

IMGのメンタル・コンディショニング・セッション

ゴルフでは8月までショートステイしている日本人選手が、メンタル・コンディショニング・セッションに参加していました。彼女は3月に中学を卒業したばかりで、4月からIMGアカデミーで研修し、9月からは正式な生徒になるとのことです。本来ならもう1人、中国人選手がいるのですが、私が訪れた日は欠席でした。フルタイム生徒のセッションは10~20人程度ですが、このような短い期間の研修も受け入れているのです。

ゴルフは練習場のほか、コースも備えている

ゴルフは練習場のほか、コースも備えている

最初に、前週の復習ということで「先週何をしたか、何を覚えているか」との質問がありました。彼女は「ルーティン」と回答。先週は同じ動作をすることで心を安定させるルーティンの紹介があったそうです。

この日は、彼女がまだ英語がよく話せないし理解できないということで、私が通訳をしながらセッションは進みました。「試合ではプレッシャーを感じますか?」「ハイ」。「それでは練習では?」「いいえ」。そこから話を発展させ、「プレッシャーがあるときの頭の中はどんな感じですか?」という質問があり、「ミスをしたらと……」と答えると、それでは「身体の感じは?」と聞かれ、「緊張している」と回答するような進め方でした。

その後、「今日は試合で勝つための呼吸法を紹介しましょう」と、あるプロゴルファーの映像を見せました。「このプロゴルファーは打つ前に何をしていますか?」「ルーティンですね。そのとき、深呼吸をしているのが映像でわかりますね」と指摘していました。次に、セサミストリート(ぬいぐるみによる子供番組)の映像を使い、あるキャラクターが怒って興奮したらモンスターになるシーンを見せました。続いて、深呼吸をしたら元に戻る映像を流し、深呼吸の仕方や深呼吸をすると平常心に戻れるということを紹介していました。

その後、ある機械をとりだし、耳に心拍計を付けさせました。その機器のモニターを見ながら深呼吸し、リラックスすれば色が変わる仕組みを説明して、数分間、深呼吸のトレーニングをしました。機器は、安定した呼吸をしたかどうかを波形で示し、リラックスの度合いをパーセントで計測して、そのデータがフィードバックされていました。

これは、腹式呼吸の仕方を機器を使用してトレーニングする方法で、一種のバイオ・フィードバック・トレーニングでした。そして、毎日このような呼吸法を1分間ずつやること(寝てやってもいいし、椅子に座ってやってもいい)、どんどん時間を延ばすようにすること、といった宿題が出ました。

このセッションでは、英語ができない者もいる場合の指導として参考になりました。IMGアカデミーでは、長い期間いる選手、短期間の選手、英語ができる選手、できない選手らが入り交じって学んでいるため、コーチたちは工夫を凝らしていました。

彼女がメンタルトレーニングに興味を持っていたため、私の本「イラスト版やさしく学べるメンタルトレーニング:入門者用(ベースボールマガジン社)」をコーチを通じて渡すようにしました。その後、彼女といろいろな話をして、食事の問題、生活、教育システム、ゴルフの素晴らしい練習環境などの話を聞きました。彼女はここで9月から高校生選手として研修をして、プロゴルファーを目指すそうです。

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