2019年8月23日(金)
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日々実践 メンタル向上術 五輪V目的に誕生 米国メンタルトレーニング事情
東海大学体育学部教授 高妻容一

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2015/8/7付
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前回は、ゾーンと呼ばれるスポーツ選手が最高の実力を発揮する理想的な心理状態について述べました。この連載で紹介しているメンタルトレーニングの本来の目的は、選手が身に付けた心技体のスキルやテクニックを試合という本番でいかにして発揮するかです。1950年代に五輪での勝利を目的に生まれ、日本に入ってきたのは80年代。日本では、84年ロサンゼルス五輪での米国のメンタルトレーニングを参考にスタートした歴史があります。東京五輪が決定した今、私は2015年4月から半年間、最新の情報を得るため米国に研究留学をしています。

フロリダ大学

研修はフロリダ大学でスタートしました。大学のパフォーマンス向上の研究室でいろいろ情報交換をし、過去に3年連続全米王者に輝いたバスケットボールの専属メンタルトレーニングコーチに会って話を聞きました。この大学は男子バスケットボール部、テニス部、ラクロス部、女子体操部、女子ソフトボール部、野球部、アメリカンフットボール部も全米チャンピオンになったり、上位入賞を果たしたりしています。

日本と違って、米国のほとんどの大学の運動部の監督はプロであり、日本のように教員らがボランティアなどで指導をすることはほとんどありません。監督やコーチも勝たなければクビになり、日本のプロ野球やサッカーと同じような状況にあります。メンタルトレーニングに関してもチームが専門家を雇い、本格的なメンタル面の強化をしています。

全米大学体育協会(NCAA)のルールがあるため、チームとしての強化より個別指導が多く行われています。ペンシルベニア州立大学など多くの大学では、アスレチックデパートメント(スポーツ課)の中に、博士号や資格を持ったメンタルトレーニングの専門家を雇っているところが増えています。

IMGアカデミーのウエートトレーニング場。14人のトレーニングコーチがいる

IMGアカデミーのウエートトレーニング場。14人のトレーニングコーチがいる

IMGアカデミー

IMGアカデミーには現在、フルタイム(常勤)のメンタルコンディショニングコーチが10人いますが、今年夏に10人のパートタイムも採用。夏には短期セッションがあり、多くの選手たちが夏休みを利用してここにトレーニングに来るからです。特に、錦織圭選手の活躍で日本から大勢の選手が来ると予想されるとのことでした。現在は錦織選手には専属のメンタル・コンディショニング・コーチはついていませんが、彼がこちらに帰ってきたときは、12歳のときから彼に関わってきたアンガス・マッグフォード博士がサポートしているそうです。

ここには小中高生、高校を卒業して大学へ入るための準備をしている年代の生徒たちが800人います。ある競技は、午前7時から同11時まで練習し、午後から学校に行くグループと、午前中は学校に行き、午後から練習をするグループに分けられています。朝7時からコンディショニングコーチによるトレーニングが1時間(週2回)、その後各練習場で午前11時まで練習します。その合間にメンタルコンディショニング、栄養学、ビジョントレーニング、リーダーシップ、ヨガ、大学への準備、ライフスキルなどが毎週1時間行われています。フィジカルコンディショニングだけは、週2回行われるということでした。

ここには世界80カ国から800選手が集まり、素晴らしいコーチングスタッフの指導と環境(教育システム)の下で、毎日トレーニングしています。敷地は550エーカーと広大で、57面ものテニスコート(室内4面)、陸上競技場、4面の野球場・内野専用練習場2面・室内練習場・ミーティング室、2面のラクロスコート、4面のアメリカンフットボール場(1面は試合場)、16面のサッカー場(男女)、ゴルフ練習場とコース、5階建ての1000人が入居できる寮などがあります。

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