2019年3月19日(火)

「フィンテック」先進国の米国で広がる5つの誤解

2015/7/30 6:30
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VentureBeat

金融(ファイナンス)とIT(情報技術)を融合させた「フィンテック」への米国での投資額がこの6カ月間だけで80億ドルに上ったことが、米調査会社のCBインサイツのまとめで明らかになった。投資が増えて連日のように新たなフィンテック企業が登場するのに伴い、これに関する話題はますます盛り上がっている。その一方で、フィンテックをめぐる議論が白熱するなか、多くの誤解も生じている。ここでは5つの主な誤解を取り上げたい。

誤解1●バブルに陥っている:フィンテックの台頭はIT(情報技術)バブルに例えられることが多いが、これは事実とかけ離れている。現時点では世界にフィンテックのユニコーン(価値が10億ドルを超える企業)は47社ある。そのうち5社は株式公開を果たしており、この業界が単なる一時的な流行ではなく、普及していることを証明している。フィンテックは既存の金融慣行を一変させ、全く新たなビジネスモデルを構築しつつある。例えば、トランスファーワイズなどは従来の銀行よりも格安なコストで国際送金を可能にし、スチューデントファンダーなどは他に適切な資金提供者が見つからない学生に教育を受ける機会を与えている。

誤解2●銀行とフィンテックは相いれない:金融市場の創造的破壊は革新的な新興IT企業と従来の銀行とが対立する構図で捉えられている。メディアは対立をはやし立てるが、実際には総じて連携する傾向にある。CBインサイツのデータによると、米六大銀行が2009年以降に戦略的に投資したフィンテック企業は30社を超え、新たな連携が日々生じている。アクセンチュアがロンドンの投資家を対象に実施した最近の研究では、新たなビジネスモデルに移行するためには足元の利益を犠牲にしても構わないと答えたのは60%に上り、フィンテックの新興企業との連携は自らの事業に新たな発想をもたらす有益な手段だとの回答は80%に達した。

誤解3●規制がイノベーションを抑制する:金融市場に幾重もある多くの規制の枠組みは常に、フィンテックの新興企業に立ちはだかる最大の壁となってきた。だが、こうした新興企業はロビー活動や政府当局との連携に力を入れたことで、市場に自らのコンセプトを導入し、信頼と信用を獲得している。英国は銀行に対し、融資を申請した顧客に資金を融通できず、貸し出しを控えたい場合には、その顧客を代替業者に紹介するよう義務付ける法律を既に導入している。証券業務を対象にした事業を手掛ける米ウェルスフォージなどは、規制をビジネスとして活用している。さらに、不確実性の高い規制という荒波を乗り越えたフィンテックの先頭を走るこうした企業は、ライバルに先駆けてより持続可能な成長軌道に乗るのが妥当な水準に到達する。

誤解4●金融資本に限定されている:フィンテックへの投資が飛躍的に増えたのはシリコンバレーやニューヨーク、ロンドン、香港においてだが、今ではこの業界は新興市場にも開放されている。銀行が関心を示していない地域では、創造的破壊をもたらす企業に金融へのアクセスを進展させる大きなチャンスがある。新たな企業や革新的技術が急速に台頭しているため、銀行口座を持たない消費者の大多数がクレジットカードやATMを飛ばしてオンラインに直行する可能性が高いからだ。従来の銀行がこれまで接触してこなかった銀行口座を持たない層を直撃するため、フィンテック企業は東南アジアやアフリカ、中南米などの新興市場で勢いを増しつつある。

誤解5●融資と決済しか扱わない:融資と決済は米国でのフィンテックへの投資の80%を占める業界最大の分野だ。もっとも、保険や市場プロビジョニング、投資マネジメント、資本調達など他の分野も金融を大きく揺るがしている。世界経済フォーラムは最近発表したリポートで、保険は最も大きな創造的破壊が生じる分野の一つだと述べた。高度なアルゴリズムと演算能力がこの活気のない業界に革命をもたらすからだ。新たな金融管理システムのおかげで、資金や時間を節約し、信用度を誇ったり不正を見抜いたりすることが全て同じ場所でできるようになる。データ解析も人気の分野で、米ゴールドマン・サックスなど大手銀行の注目を浴びている。こうした高度なデータ解析プラットフォームは、金融ソリューションの未来のカギを握っている。

By Toby Triebel (中小企業を対象にオンライン融資を手掛けるスポットキャップの共同創業者で最高経営責任者(CEO)。ゴールドマン・サックスを皮切りに金融業界で10年の経験を持つ)

(最新テクノロジーを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」から転載)

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