「後継者には100億円を」 孫氏が語る世界の常識
孫正義の焦燥(1)

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2015/8/10 6:30
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日経ビジネスオンライン
 まるでプロスポーツのスター選手のようだ。165億5600万円――。ソフトバンクグループが6月19日に提出した有価証券報告書で、2014年度にニケシュ・アローラ氏に支払った報酬総額が明らかになった。同氏は孫正義社長から「最も重要な後継者候補」に指名され、同日の株主総会での承認を経て、代表取締役副社長に就任。孫社長は株主総会で「私の期待の星」と紹介した。この報酬総額は、世界的に見てもトップレベル。アローラ氏を迎える前、孫社長は筆者のインタビューで後継者と報酬について語っていた。このほど上梓した書籍『孫正義の焦燥』では触れていないインタビューを紹介する。

ソフトバンクグループの孫正義社長。米誌フォーブスによると2014年の資産は139億ドル(1兆6680億円)に達する(写真:的野弘路)

ソフトバンクグループの孫正義社長。米誌フォーブスによると2014年の資産は139億ドル(1兆6680億円)に達する(写真:的野弘路)

――経営者の高額報酬に対しては反発もあります。孫さんは経営者の報酬についてどのように考えていますか。

アメリカのゴールドラッシュの時に西海岸に命懸けでカーボーイがどんどん行ったというのは、結局のところ一攫千金だから。銭金のためにというのは浅ましいと思うかもしれないけれども、やっぱり何がしかの夢がないとさ、本当に命懸けで勝負するかよと。

インセンティブが大事なんだよね。ましてや、ちょっとしたインセンティブじゃね、これはあかんて。

それはね、日本がもう一回復活するのに、自分で創業して100億(円、以下同)、1000億の企業を仕切るだけの才覚を万人が持っているなら、それほどいいことはないんだけど。

これはもう本当にね、1万人に1人、10万人に1人、それこそ100万人に1人だよ。1億2000万人いてさ、100人もいないじゃないかな。

――創業して一代で売上高1000億円以上の会社をつくり上げている経営者は、100人もいないかもしれません。

ゼロから創業して1兆円に仕切った創業経営者ってさ、何人いるよ。100万人に1人もいないよ。

それを求めるのはね、なかなか難しいよ。でもね、そういう創業経営者に一緒に付いていって、付いていった10人のうちの1人になるのは、それは不可能じゃないんだよ。

――それでもリスクがありますからね。

おお、そこに懸けて付いていくだけでリスクなんだよ。

はっきりいって宮内(謙ソフトバンク社長)が1000万人に1人の才覚があるかというと、うーんまあまあね、と思うよ。

――日本能率協会を退職して孫さんに付いていきました。

そう。安泰だった仕事を辞めて、何か訳の分からない大風呂敷ばっかり広げている男にさ、まして年下のところにね、『はい』と言って付いていくというのは、大変なリスクだよ。

だから、僕は宮内には少なくとも彼が引退するころまでには100億ぐらいはやらなきゃいかんと思っているんだよ。うん。本当に。僕の後継者になる男にも、100億ぐらいはやらないといかんと思っているんだよ。

やっぱり一握りの奴にはそのくらいのメリハリがないといかんと。そのかわり寝食忘れて、言い訳抜きで、それはもう突撃せないかんと。

■日本の社会は、ばばーと復活する

何か訳の分からない何人かが経営者の周りで100億円もらっていたとする。そしたら、『おお、俺は1000万人に1人の男ではないけど、一緒に命張って付いていく』という気概の奴がぽこぽこ、ぽこぽこと幾つかの会社で生まれるよ。そしたら、日本の社会はばーっと復活する。

それぞれの業界で命懸けの奴らが生まれてくる。それが本当の活力なんだよ。

国から何か補助金もらったってぜんぜん成果が出ないやんか。あんなの税金の無駄遣いだよ。

それより民間が勝手に自力で野生の本能を取り戻す仕組みが大事だよ。そういうカルチャーが大事なんだよ。

小学校のゆとり教育とか言われるけど、サラリーマン社会もゆとり社会になっちゃったんだよ。横並びに横並びでみんな手をつないで落ちぶれると。

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