欧米で先行、社会インフラに「IoT革命」の波

コラム(テクノロジー)
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2015/8/5 6:30
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ポルトガルでもIoTを活用したプロジェクト「PlanITバレー」が進行している。街中に1億個(市民1人当たり450個)ものセンサーを配置し、交通分野だけでなく、各種の分散型エネルギーをネットワーク化して最適制御するスマートグリッドも統合的に管理する。

フランスのニースでも、中心市街地の約750mの沿道に200個以上のセンサーを取り付け、地域住民や来訪者、観光客の利便性や快適性を向上させる「Connected Boulevard」プロジェクトを推進中。スマートパーキング、スマートライティング、スマート廃棄物管理などのサービスが提供されている。

米国では、スマートパーキングや犯罪防止など個別のアプリケーションを使ったプロジェクトが多い。高齢化社会の進行に伴い、IoTを活用して医療・健康関連の情報を市民が提供し、サービスを充実させるプロジェクトも始まっている。

米国フロリダ州オーランドの「Lake Nonaメディカルシティ」がその例。高齢者医療センター、小児科病院、大学医学研究所などの医療・健康関連の施設を集め、各施設をネットワーク化し、今後15年間に約20種のスマートサービスを市民に提供する計画である。

■多様な業界からの参入相次ぐ

社会インフラ向けのIoTソリューションの市場拡大を見込んで、さまざまな分野から多くの企業が参入してきている。各社を事業規模の大小と取り扱うIoTアプリケーションの多寡という尺度で見ると、4種類のグループに大別できる(図3)。

図3 社会インフラ向けIoT参入企業のマッピング(出所:『IoTプロジェクト総覧 社会インフラ編』)

図3 社会インフラ向けIoT参入企業のマッピング(出所:『IoTプロジェクト総覧 社会インフラ編』)

多国籍企業の「百貨店・デパート型」と「ユーザー視点型」、ITベンチャーの「コンビニエンスストア型」と「専門店・ブティック型」である。

「百貨店・デパート型」の代表は、米Cisco Systemsや米IBM、独SAP、スペインTelefonicaなどである。これらの企業は、プラットフォームとなる技術をコアとして持っており、それをさまざまなアプリケーションにおけるIoTソリューションとして展開し、顧客に提供している。

「ユーザー視点型」の代表は、物流や運送で世界最大手の米FedEx、テーマパークを欧米亜で展開する米Walt Disneyである。FedExの場合、競合他社の配送や宅配サービスでも同社のIoTサービス「ShipmentWatch」を利用可能としており、この面ではIT(情報技術)ソリューション・プロバイダーとしての役割を果たしている。Walt Disneyはまだ「MagicBand」や「MyMagic+」の技術やソリューションを他社には提供していないが、スポーツ関連企業などから問い合わせを受けており、ライセンス供与などを検討していると見られる。

「コンビニエンスストア型」の代表は、スペインLibelium ComunicacionesやスペインWairbutで、小粒ながら多くのアプリケーションに対応する利便性が強みだ。

「専門店・ブティック型」の代表は、スマートライティングの米Streetline、無料Wi-Fiによる人流ビッグデータ解析のスウェーデンBumbee Labs、廃棄物管理の米BigBelly Solar、飲料の販売量管理のイスラエルWeissBeergerなどで、特定のアプリケーションに特化しており、その専門性を生かして他企業とアライアンスで事業展開することも多い。

日本国内ではIoTを社会インフラ分野に適用する試みはこれからだが、都市問題解決の切り札として、IoT革命の波がインフラ分野にまで押し寄せるのは時間の問題だろう。

(日経BPクリーンテック研究所 藤堂安人)

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