2019年3月21日(木)

大林組が空調服の購入補助を開始、熱中症対策に

2015/7/28付
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日経アーキテクチュア

熱中症対策と、夏場の作業効率を高めるために、大林組は協力会社組織「林友会」に加盟している協力会社に対して「空調服」を割安に購入できる補助を2015年7月から開始した。7月15日時点で400着超の要望があった。同社は社内の希望者向けにも空調服を現場作業着として採用し、同日までに1810着を注文した。空調服を現場作業着に採用したのは、大手建設会社では初めてと言う。

都内のある建設現場で空調服を着用する大林組社員(左)と、協力会社の松村組の塩野利之職長(右)。ファンから空気を衣服内に取り込み、首元や袖部分から空気を排出する(写真:日経アーキテクチュア)

都内のある建設現場で空調服を着用する大林組社員(左)と、協力会社の松村組の塩野利之職長(右)。ファンから空気を衣服内に取り込み、首元や袖部分から空気を排出する(写真:日経アーキテクチュア)

空調服とは、腰上部分に小型のファンが取り付けてある長袖の作業着で、衣服内に空気の流れをつくることで汗を気化させ、体を冷ます機能を持つ。標準的なジャンパー形のもので、1着2万4592円(税込み)だ。メーカーの空調服(東京・板橋)が2005年から販売開始し、近年急激に売り上げを伸ばしてきた。約5年前までは1万着程度だった販売数が、13年に約8万着、14年は約24万着を売り上げ、15年は約35万着の販売を見込む。

空調服の市ヶ谷弘司社長は、「溶接工など暑さの厳しい職種から口コミが広がり、購入者の99%以上がリピーターになっている。特に建築業界では、様々な職種の人が集まって情報交換するので、口コミが広がりやすかった」と話す。海外からの引き合いも多く、15年からは米国での販売も始めた。

■協力会社では社員全員が空調服を着用

大林組がオフィスビルを建設している都内のある現場では、同社社員が着用するオレンジ色の空調服と、協力会社が着用するメーカー販売の青色の空調服が混在している。松村組(東京・品川)工事部の塩野利之職長は、「炎天下の作業では日焼けや発汗で体力を奪われることが多いが、空調服を着ると汗をかきづらく、夏場の作業効率が上がった。体調管理もしやすくなったと感じる。今年からは、松村組の社員全員で着用するようにした」と語る。

コントローラーを使って4段階で風量を調節できる。作業中に暑さを抑えられるだけでなく、作業後も汗が早く乾くので疲れにくいと言う(写真:日経アーキテクチュア)

コントローラーを使って4段階で風量を調節できる。作業中に暑さを抑えられるだけでなく、作業後も汗が早く乾くので疲れにくいと言う(写真:日経アーキテクチュア)

空調服の内側。「ファンをお気に入りのジャンパーに取り付ける人もいるが、空気が漏れにくい素材であるほうが効率良く循環するので、空調服専用のウェアを使用してもらいたい」と空調服の市ヶ谷弘司社長(写真:日経アーキテクチュア)

空調服の内側。「ファンをお気に入りのジャンパーに取り付ける人もいるが、空気が漏れにくい素材であるほうが効率良く循環するので、空調服専用のウェアを使用してもらいたい」と空調服の市ヶ谷弘司社長(写真:日経アーキテクチュア)

空調服はファンやバッテリーなどが取り付けられているものの、通常の作業服に比べて約480g重い程度だ。6時間充電すれば、11時間使用でき、ファンの強さは4段階に調節できる。「極めて暑い現場では最強の風力にして作業する人が多く、その場合の連続使用は5時間半程度」と市ヶ谷社長は言う。

厚生労働省が毎年実施している業務上疾病発生状況等調査によれば、熱中症で4日以上休業した疾病発生数は、全産業中で建設業が圧倒的に多い。14年度だけでも6人が命を落とした。「空調服は熱中症予防のほか、暑さによる注意力、集中力、判断力低下の抑制などにも効果が期待できる。建設技能者の労働環境を改善する一環として、空調服購入の補助に踏み切った」と大林組CSR室広報部広報第一課の鈴木顕氏は説明する。

(日経アーキテクチュア 菅原由依子)

[ケンプラッツ 2015年7月28日掲載]

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