10年後になくなる仕事、残る仕事 あなたの仕事は?

人工知能の発展に伴い、10年後には人間の仕事がなくなる──。英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が2013年にこんな論文を発表し、話題になった。オズボーン准教授が各職種の労働関連のデータに基づいて試算したところ、医師や小学校の先生は残るが、電話営業やタクシー運転手などは人工知能に代替されるという結果になった。
リクルートワークス研究所主任研究員の中村天江さんは、「すぐに人工知能が人間に取って代わるわけではありませんが、雇用環境は厳しくなります」。
リクルートワークス研究所が予測した2025年の雇用環境は下のグラフの通り。超高齢化社会により、労働人口が減るものの、製造業や事務職では機械化がさらに進み、求人も減る。一方、機械が取って代わることのできない医療・福祉職はますますニーズが高まるのに、やりたがる人がいない。「需給のミスマッチはますます深刻化するでしょう」。
2025年の雇用状況 需給のミスマッチが深刻化
下のグラフは、業種別の就業者の推移と、就業人口の推移。業種別ではサービス業、特に医療・福祉業界以外は鈍化する。就業人口は6274万人から6091万人に減少する。
リクルートワークス研究所のホームページ(http://www.works-i.com/research/2014/2025yosoku/)でデータ公開中。


10年後に残る仕事は…
下の表は、アメリカ労働省のデータに基づいて、702職種が人工知能に置き換えられるかどうかを試算した結果を抜粋したもの。右が90%以上の確率で生き残る仕事、左がなくなる仕事。前者に比べ、後者は既に機械化が進んでいる仕事が目立つ。

1.超高齢化社会で人材不足が顕著に
超高齢化社会で、15~65歳の労働人口は減るだけでなく、介護による離職者も増える見込み。介護離職をしなくてもすむように、「企業側の対応が不可欠です」。
2.機械による代替が始まる
「人工知能までいかなくても、機械化は確実に進みます。サービス業を中心に、人でなければならない仕事か、他者にはないスキルを持つ"タレント"人材にならないと厳しいでしょう」。
3.医療・福祉現場で労働環境が改善か
人手不足が深刻化する医療・福祉業界では、人工知能による代替は進まない。人材を集めるために、給与を上げるなど、働きやすい環境づくりを工夫するはず。
この人に聞きました

リクルートワークス研究所主任研究員。東京大学数理科学研究科修士課程修了。99年リクルート入社。就職・転職・キャリア支援のサービス企画を経て、09年リクルートワークス研究所に研究員として異動。就業構造や労働移動について主に研究している。
(日経WOMAN 岡本藍)
[日経WOMAN 2015年8月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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