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必死に背伸びした64年東京五輪 2度目は自然体で
編集委員 北川和徳

2015/7/24 6:30
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五輪・パラリンピックが開催される2020年に向け、東京はすごい勢いで様相を変えつつある。品川に渋谷、銀座も新宿も再開発でビルの建設ラッシュが続く。訪日観光客の姿も目立って増えた。東京に限らず日本各地、こんなところまでと思う田舎町にも外国人がグループでやってくる。

日本は新たな「開国」に向かっている。人口減社会に突入し、世界から人々を迎え入れることを迫られている。五輪・パラリンピックは、そこに絶好のタイミングでやってくる。

半世紀前は、発展途上の国の姿を少しでもよく見せようと必死に背伸びした。新幹線も高速道路も国立競技場も、国家が威信をかけて整備した。選手たちは悲壮な覚悟で日の丸を背負った。日本は立派だ、素晴らしい大会だったと、世界に褒めてもらいたかった。

64年の東京パラリンピック第1部開会式での選手宣誓=日本障がい者スポーツ協会提供

64年の東京パラリンピック第1部開会式での選手宣誓=日本障がい者スポーツ協会提供

今度は気負うことはない。世界に自慢できる安全で便利で清潔な社会をわれわれは持っている。パラリンピックに向けて街のバリアフリー環境も整備されるだろう。背伸びすることも、虚勢を張ることもなく、優しく謙虚で礼儀正しい、日本人の自然体で世界と向かい合えばいい。

課題があるとすれば、心のバリアフリーの実現だろうか。政治家もスポーツ関係者も、大会が成功する条件を問うと、第一に「日本選手のメダル獲得」と口にする。アスリートたちが競技に集中できる最高の環境を用意することは大切なことだ。だが、ホスト国のメダル量産が成功の条件なんていう幼い考えからは、そろそろ卒業したい。

昨年のソチ冬季五輪を思い出す。記憶に焼き付いているのはフィギュアスケート女子で敗れた浅田真央のメダルなど超越したフリーの不屈の演技だった。男子で金メダルを獲得した羽生結弦は、その結果よりも、会見で笑顔をみせずにふるさとを思って語った19歳の言葉が誇らしかった。「このメダルで直接被災地の復興を助けられるわけではない。自分の無力を感じる」

五輪やパラリンピックが時に心を揺さぶられるような衝動を与えてくれるのは、決してメダルのあるなしではない。

5年後の東京では、心からゲームを楽しみたい。勝てば歓喜し、負ければ涙して悔しがり、そして互いに敬意を忘れない。それが成熟した社会でのスポーツの祭典というもの。そんな五輪とパラリンピックを世界に披露できれば、大きな岐路に立つこの国の将来に向けて、かけがえのないレガシー(遺産)となる。

始まりは64年東京から
 東京パラリンピックは1964年11月8日から12日までが第1部、同13、14日が第2部として、東京・代々木公園の織田フィールド(陸上競技場)などで開催された。
2部に分かれたのは、様々な障害を持つ選手を参加させたい日本側の方針に対し、当時パラリンピックを主催していた英国の国際ストーク・マンデビル競技委員会が、脊髄損傷による車いす使用者に限った形を求めたため、第1部をその条件に沿った「国際大会」、第2部はそれ以外の障害者による「国内大会」として開いたことによる。第2部は翌年からスタートする全国身体障害者スポーツ大会(現・全国障害者スポーツ大会)の原型となった。
 第1部は21カ国約370人が参加、第2部は特別参加の西ドイツ(当時)と米国統治下だった沖縄を含む全都道府県から約480人が参加した。下半身まひを示す「パラプレジア」と「オリンピック」をつないだ「パラリンピック」という名称は、この東京大会から使われるようになった。
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