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丸ごとレビュー ついに「7」が正統進化 Windows10直前レビュー

フリーライター 竹内 亮介

マイクロソフトは7月29日、同社の基本ソフト(OS)である「ウィンドウズ」シリーズの最新版「ウィンドウズ10」へのアップグレードを開始する。注目したいのがアップグレードの無償化だ。2009年に発売された「ウィンドウズ7」や、2013年に発売された「ウィンドウズ8.1」からなら、1年間に限り無料でアップデートできるようにした。

スタートメニューが復活し、デスクトップですべての作業が行えるようになったウィンドウズ10

「ウィンドウズ8」や同8.1は、ウィンドウズの大きな特徴の一つである「スタートメニュー」が無かったが、10で復活した。8や8.1のユーザーインターフェースに違和感を感じ、アップグレードせずにウィンドウズ7を使い続けてきたユーザーも少なくない。そうした7ユーザーにしてみれば、ようやく訪れた最新OSに移行するチャンスといえる。期待と不安で半々といったところだろう。そこで今回は、7をずっと利用し続けてきたユーザーに向け、10とはどういったものなのか、8や8.1よりもスムーズに移行できるのかを検証した。

7が動作するなら10も問題なく動作する

誤解が無いように説明しておくと、全ての7および8.1ユーザーが7月29日からアップグレードできるわけではない。10の「開発版」をテストできる「インサイダープレビュープログラム」に参加済みのユーザーが対象だ。当該プログラムに参加していないユーザーは、別途案内がある「ウィンドウズ10へのアップグレード予約」を行うと、アップデート用ファイルが入手できる仕組みだ。

7月29日にダウンロードできるのはインサイダープレビューのユーザーだ

なにしろウィンドウズのユーザーは非常に多い。段階を踏んで「ファイルをダウンロードするユーザー」を整理しないと、サーバーに負荷がかかりすぎてダウンロードサービスが応答不能になったりダウンロードに時間がかかったりする恐れがある。一般の7/8.1ユーザーがアップデート用ファイルをダウンロードできるのは、最速でも7月30日以降になりそうだ。有償のパッケージ版も間をおかずに発売するとのことだが、手に入るのは8月に入ってからになるだろう。

なお、10がプリインストールされたメーカー製パソコンは、一部の先行モデルを除き、9月または10月から本格出荷がスタートする。今回、完成版にきわめて近い最新バージョン「ビルド10240」の公開日時が、米国時間の7月15日とかなり遅かった。パソコンメーカーは、完成版を使って最終的な検証作業を実施するため、搭載パソコンの発売が9月以降にずれ込んだわけだ。

アップグレードする前に気になるのが、「自分のパソコンで10が動作するかどうか」だろう。この点については、おおむね心配しなくてよさそうだ。マイクロソフトは、そのOSが利用できるハードウエアやソフトウエアを示した「システム要件」を公開している。確認したところ、7と8/8.1、10の4種類のOSのシステム要件は基本的に同一だ。つまり、7が快適に動作しているパソコンなら、10も快適に動作する。

タスクトレイに表示されているウィンドウズマークをクリックすると、10のダウンロード予約が行える

また、10のダウンロード予約をする際に、それぞれのパソコンのハードウエアやソフトウエアが10に対応しているかどうかを自動的にチェックしてくれる。未対応のハード/ソフトがあるとリストアップして表示する。なにもリストアップされなければ、そのままアップデートしても大丈夫だ。リストアップされた場合は、ハードおよびソフトメーカーから、10用のアップデートファイルが提供されるのを待つとよい。

筆者は、インサイダープレビュープログラムを通じて、10の開発版を試してきたが、7で使ってきたソフトウエアは、おおむねそのまま動く印象だ。

7と8のいいところ取りをした10のスタートメニュー

スタート画面の左側にはプログラムメニューや設定、電源関係のボタンが並ぶ。「すべてのアプリ」をクリックすると、インストールされているすべてのアプリを表示する

7ユーザーが8/8.1でもっとも戸惑った部分は、最初に全画面で表示される「スタート画面」だろう。マイクロソフトもユーザーの戸惑いや不満を把握していたようで、10ではスタートボタンと、コンパクトになったスタートメニューを操作の起点とするユーザーインターフェースを採用した。7によく似ているので、7ユーザーには朗報だろう。

スタートメニューの左側には、プログラムメニューが並ぶ。「よく使われるアプリ」や、7のスタートメニューでは右側に表示されていた「設定」や「電源ボタン」などが配置されている。「すべてのアプリ」をクリックすると、インストールされているすべてのアプリを左側に一覧表示する。7のスタートメニューの機能を左側1列に凝縮したと考えるとわかりやすい。

一方、右側は「スタート画面」と呼ばれる。8/8.1のスタート画面と名前が同じだが、実は役割も同じだ。「タイル」と呼ばれるアプリ起動用の四角いショートカットが並んでおり、表示する順番やグループ設定はユーザーが自由に変更できる。

スタート画面部分のタイルは、ドラッグアンドドロップで自由に場所を移動できる

よく使うアプリを、左側のプログラムメニューからスタート画面にタイルとして登録する、といったことも可能だ。7と違い、10のプログラムメニューは順番を入れ替えるなどのカスタマイズができない。そうしたカスタマイズ機能をスタート画面が補う格好だ。10のスタートメニューは、いわば7と8/8.1の合体版といえる。

このスタートメニューの復活とともに、デスクトップ中心のインタフェースに戻ったことも、7ユーザーにはうれしい変更だろう。8で導入された新しいアプリ群「ウィンドウズストアアプリ」は、スタート画面と同じように全画面で表示され、今までとは利用時の作法が異なるアプリだった。

しかし10では、このストアアプリもウィンドウ表示できるようになった。またストアアプリの起動時に、画面全体が暗転するような効果もない。7のデスクトップ上で使ってきた、普通のアプリと同じ扱いになったわけだ。

左はストアアプリの「天気」、右はデスクトップアプリの「エクセル」だ。どちらも普通にウィンドウで表示される

慣れてしまえばなんてことはないのだが、こうしたストアアプリの挙動が、8/8.1への移行を阻害する一つの要因になったことは間違いない。そこを10ではしっかりと改善してきた。

なお、商用のパッケージソフトやインターネットからダウンロードするフリー/シェアウエアなどのデスクトップアプリは、10にも問題なくインストールできるし、普通に利用できる。10のデスクトップは、要するに7のデスクトップと同じだ。タスクバーにアプリのアイコンを登録し、そこからアプリを起動する機能も残している。

ちなみにここは、8/8.1で誤解されがちな部分でもある。実は8/8.1にもデスクトップはあり、デスクトップアプリは引き続き8/8.1でも利用できた。しかし、デスクトップを表示するのに1ステップ必要なため、見つけづらかったのだ。つまり、「10で初めて改善された部分」というわけではない。タスクトレイなどの機能も含め、デスクトップを使う限り、7と8/8.1、10で大きな違いはないのだ。

新ブラウザ「エッジ」の追加と設定アプリの強化

新ブラウザーのエッジ。ボタンやタブのサイズが大きめになり、タッチ環境でも使いやすくなっている

10になり、ユーザーがよく使う基本アプリにもいくつか変更が加えられている。もっとも大きく変化したのはウェブブラウザーだろう。7までは「インターネットエクスプローラー」(IE)だったが、10では「エッジ」に変わった。エッジは、インターネットでよく使われている基本的な記述言語への対応を強化し、描画速度を向上した最新のウェブブラウザーである。

IEでは一番上の段にアドレスバーとタブ、各種操作ボタンが並ぶという構成だったが、エッジでは1段目にタブ、2段目に各操作ボタンやアドレスバーという構成に変わった。ただ、基本的にはボタンの並び順が変わった程度で、よく使う基本機能には大きな違いはない。7でIEを使ってきたユーザーなら、ほとんど迷うことはないだろう。

10ではIEも引き続き利用できるので、必要に応じて使い分けよう

ただ、エッジは基本的にプラグインによる機能拡張には対応しない模様だ。これはセキュリティを高めるための一つの対応策であり、昨今のセキュリティ侵害の状況を考慮すれば仕方のない変更点ともいえる。10ではIEも引き続き利用可能なので、どうしても利用したいプラグインや機能拡張がある場合は、IEを利用するなり、ファイアフォックス(Firefox)など別のウェブブラウザーを併用するとよい。

もう一つ、7から大きな変更点がある。各種設定を行う「設定」アプリの導入だ。8/8.1でも「PC設定」という設定用のストアアプリがあったが、基本的にはコントロールパネルで設定する仕組みだった。それが10では、コントロールパネルから設定アプリへの移行が進み、壁紙設定やウィンドウズアップデートは、設定アプリからしか実行できなくなっている。このあたりは迷いやすいので注意が必要だ。

検索ボックスに入力したテキストを元にして、設定アプリとコントロールパネルを横断して検索できる
なんとウィンドウズアップデートは設定アプリからしか利用できなくなった

10でも、コントロールパネルは引き続き利用できるが、7や8/8.1に比べると設定できる項目は明らかに減った。今後は設定アプリを起点にして、各種設定を行う方針なのだろう。こうした変更に合わせるように、設定アプリ上では詳細な検索が行える検索ボックスを用意している。この検索機能を使えば、設定アプリだけでなくコントロールパネル内の設定項目も呼び出せるようになっている。

リボンインタフェース内によく使う機能がまとめられた10のエクスプローラ

ファイルを管理するエクスプローラは、基本的な機能は7と同じと考えてよい。タブのエリアに機能をいくつかまとめて整理する「リボンインターフェース」を導入しているが、7と同様の右クリックメニューも引き続き利用できる。最初は右クリックメニューを中心に使い、慣れてきたらリボンインタフェースを使うとよいだろう。

7ユーザーへの配慮が詰まった10

ウィンドウズ10は、おおむね「7とほとんど変わらない感覚で使える」ことがおわかりいただけただろうか。特に、7ユーザーに対しては丁寧に違和感を取り除いて、スムーズに移行できるように配慮している。8/8.1への移行が上手く進まなかったこともあり、マイクロソフトの並々ならぬ配慮を感じた。

次回は、実際に製品版へのアップデートを試してみて、どのような作業が必要になるのか、どんな作業になるのかなどを中心にリポートしていこう。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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